肥後国とっておきの「ひなび温泉」を訪ねる。/山鹿温泉・桜町温泉

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【熊本県:山鹿温泉/桜町温泉

 

熊本県北部、山鹿(やまが)市にある山鹿温泉。

その一角に公衆浴場・桜町温泉はある。入湯料は今時なんと150円。

ほんとに150円でいいんですか?と番台のおっちゃんに問いかけたくなるような

良心的値段に、ひたすら有難さを感じつつ中へ。

 

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ああ、きもちがいい・・・。

そんな声が聞こえてきそうな、大人の社交場だ。

東京の銭湯とはまた違った趣を感じさせる昔ながらの温泉浴場。

 

じっさい本当にこの湯は気持ちが良いのである。

見た目は普通の無色透明だが、ph値が高いのだろう、

まるでウナギの・・・いや、乙女の柔肌のようにトロっとした湯ざわり。

一度浸かると、そう簡単には上がりたくなくなるような中毒性がある。

 

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熊本県の温泉地といえば、人吉温泉とか、最近名高い黒川温泉を

思い浮かべるひとが多いだろうが、山鹿温泉を思い浮かべる人は

それほどおるまい。どちらかといえばマイナーな温泉地だ。

それだけに「ひなび感」は相当なもので、また程よい具合に熟成されている。

 

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旧豊前街道沿いにある八千代座。

明治43年(1910)に建てられた芝居小屋で、国の重要文化財でもある。

全国でも貴重な建物といえよう。

 

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そのまま温泉町をぶらついていたら見つけた、金剛乗寺の石門。

200年ほど前に、江戸時代の石工が切石を削って拵えたものだそうな。

この門の存在のおかげで、この一角だけがどこぞの異国への入口と思わせるようだ。

 

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宿に着いた。

旅装を解いて浴衣に着替え、風呂へ向かう。

 

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いたって普通の浴槽で、いささか情緒には欠けるが、

源泉がドバドバと掛け流され、勢いを留めることなく

常に湯船から湯が溢れ出て吸水口へと流れている。

これこそ正真正銘の掛け流しといって良いだろう。なんとも贅沢。

 

同じ町内にあるので、見た目も泉質も桜町温泉とほぼ同じ。

これなら湯疲れしづらく、いくらでも長く浸かっていられそうだ。

 

とはいえ、あまり長く浸かりすぎても良くないので、

5分から10分程度浸かったら、湯船のへりに上がって身体を休める。

これが賢い。浸かりすぎると湯疲れしてしまうからだ。

いい温泉ほど、休み休み入るのが身体にはいい。

 

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宿は素泊まりだから、暗くなったら外に出て温泉街をそぞろ歩く。

熊本県庁の近くまで来て、道の先に灯るは1本の赤提灯。ここに入ってみるか。

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湯上がりだからビールがうまい。

何か合うアテはないかと探したら、焼き鳥もあったが、

「鶏の塩焼き600円」の文字にひかれて注文。

いい匂いととともに、色合い豊かな皿が運ばれてきた。

 

さほどに特筆すべき味ではないが、おいしい。

こういう素朴なひと皿が、私には豪勢な旅館の夕食よりも嬉しかったりする。

好きなものを好きなだけ。だから1泊0食、素泊まりの旅はやめられないのである。

ほかに明太子や馬刺しなどを地酒とともに満喫した。

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翌朝、宿を出て日輪寺へ行ってみた。

視界が開け、いきなり山の斜面に30mぐらいの石仏が立っていて度肝を抜かれる。

 

この寺には、「忠臣蔵」で有名な大石内蔵助はじめ赤穂浪士17名の遺髪塔がある。

江戸時代、山鹿は細川家の領地であったが、

吉良邸に討ち入った咎で切腹させられた赤穂浪士のうち、

17名の身柄を細川家が預かったという縁で、彼らの遺髪がおさめられたとか。

 

浪士たちの接待役を務めた堀内伝右衛門は、自らの知行地内にあったこの日輪寺に

遺髪塔を建てて供養し、のちに伝右衛門自身も死後、当寺に埋葬された。

なんとも粋ではないか。

 

そういえば、この山鹿の地にはあの剣豪・宮本武蔵も訪れたとか。

武士に愛されたこの温泉町は、庶民的ながらどことなく品があり、

凛とした空気が漂っているようだ・・・。

 

山鹿温泉 http://www.y-kankoukyoukai.com/onsen/sakurayu.html

桜町温 http://www.xn--3iwm2bf4az0p.com/

 

記事:哲舟

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mail5555

2013-09-15 | Posted in 四国/九州No Comments » 

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