クセのある湯が、クセに鳴子!/東鳴子温泉・高友旅館

【宮城 東鳴子温泉/高友旅館】

気がつけば、我がひなびた温泉研究所も、4周年をむかえていて、

支えていただいている読者のみなさまに感謝しながら

ひとりお祝いをしようということで、どうせならばやっぱりひなびた温泉宿で、

しかもひなびた温泉研究所の4周年にふさわしい宿をということで、

ハイ、やってきました。東鳴子温泉の高友旅館。

その日は、はらりはらりと雪が舞っていた。

うん、やっぱ東北の温泉はそうでなくっちゃねぇ、と、

駅を降りた途端にさっそくテンションが上がる。

まずはまっすぐと宿へと向かって、荷物を置いて、買い出しに行こう。

そう、宿泊は湯治部屋をとったので自炊なのである。

案内された自炊棟の部屋は6畳の部屋。

自炊ができる小さなキッチンがついている。

食器棚には食器も揃っている。うん、お猪口や徳利、ビールのコップもちゃんとある。

鍋やフライパンなんかはフロントで貸してくれるということだ。

駅前のなるみストアで地酒を買って、

宿の近くのスーパーでビールや食料を買って準備は万端。

冷蔵庫に並ぶ、ちょっと贅沢なヱビスビールがうれしい。

1本だけプレモルも混ぜて、贅沢感さらにア~ップ!

さてさて、まずは温泉ですねと、温泉支度をして館内を歩くと、

おお、さすが高友旅館、湯治の宿だ。

大きめの湯治の宿特有の迷路じみた入り組んだ館内がいい感じだ。

お風呂入る前にちょっくら探検しよう。そうしよう、そうしよう。

そんなわけで館内をぶらぶらしてみると、レトロで入り組んだ館内あちこちに、

イタチみたいなのの剥製や、ビーナス像みたいなのや、

レトロな遊具、卓球台、フェイクの盆栽、なぜかトラの剥製なんかもあったりする。

なんだろう?高友旅館のこの、どことなくカオスな世界観は…

好きだ、こういうの。

館内の探検をほどほど楽しんで、

さっそく向かったのが高友旅館名物の黒湯。

高友旅館は4つの源泉をもっていて、

なかでも人気なのが黒湯である。

ガツンと効く東鳴子の黒湯といえば、ここ高友旅館の黒湯なのだ。

大きく「黒湯」と書かれた案内に従って薄暗い廊下を降りて、

薄暗い階段を降りていくと(この薄暗いところがまた、いいんだなぁ)、

レトロちっくな浴室の入り口がふたつある。

手前には「黒湯」という案内板がかかげられ、

奥には「婦人専用」とかかげられてある。

高友旅館の黒湯は基本的には混浴であって、「婦人用」は

混浴できない女性のためのもの。

ただし、宿泊客に限って混浴風呂には「女性タイム」が設けられている。

高友旅館の黒湯は人気があるので日帰り入浴のお客さんが

ひっきりなしにやってくるし、湯船もそれほど大きくないので

混浴の難易度はけっこう高い。

なので、黒湯につかりたい女性は宿泊して

「女性タイム」にゆったりとつかったほうがよいかもしれない。

さてさて、名物の黒湯につかろう。

外も暗くなったこの時間は浴室も薄暗く、湯気がもうもうだった。

へしゃげたような変わった形の湯船は5~6人でいっぱいぐらいの大きさ。

そんな湯船に名物の黒湯がかけ流されている。

湯の色は黒湯といっても、緑がかった黒湯だ。

そしてコールタールような匂いが鼻腔を刺激する。

そうそう、これこれ。

これが、ここの黒湯の特長だものね。

さっそく湯につかると、

温泉成分の濃厚な湯が身体にグワッとくる。

ここ、高友旅館の黒湯は人によっては

入浴後、ぐったりとするのだという。

でも、そのぐったりが治ると、

あら不思議、身体がシャキッとしてしてくるというのである。

つまり、身体の疲れを出し切ってしまうのですね。

それだけ強い湯ということなのだろう。

そういえば高友旅館のホームページにも

「温泉の威力を感じてください」と自信たっぷりに書いてあったっけ。

浴室の奥には3段ぐらいの石段があって

そこにはプール湯と呼ばれる湯船がある。

プールといわれれば、そんな気もするけど、

なんでプール湯なんだろう?とも思う。

こちらの湯は無色透明である。

湯につかっていたら、やけにお腹がすいてきた。

これも黒湯の効能?胃腸の調子がよくなったとか?

ま、それはよくわからないけど、

ひとまず湯からあがって晩飯としよう。

写真なにか

で、食後は貸切風呂の「もみじの湯」に入った。

しかし!熱かった。あまりに熱かった。

うめてから入ろうかとも思ったけれど、

まあ、そうガツガツしなくとも、と、

次なる「ひょうたん風呂」に向かった。

「ひょうたん風呂」は文字通り、

ひょうたんの形をした湯船の風呂だったりする。

ここもちょっと薄暗い。

うん、夜のひなびた温泉は、明るいよりも薄暗いほうが、いい。

湯はこちらは黒湯とは違って薄い褐色である。

湯温もぬるめだ。

人気の黒湯と比べて、こちらはひっそりとし、

のんびりと独泉が楽しめた。

いやぁ~、黒湯もひょうたんもいい湯だった。

来てよかったなぁ、高友旅館。

夜は東京駅で買ってきた鯵の押し寿司を

肴に日本酒をいただいた。

湯上がりの心地いいじわじわ感と、

日本酒が五臓六腑にしみていくじわじわ感が

ダブルで攻めてきて、まさに至福の時間だ。

この時代に取り残されたような高友旅館の自炊棟でこうしているっていう

シチュエーションもたまらなくいいんですねぇ。

うんうん、今年は東北の温泉も積極的に攻めていこう。

と、そんなことをひとり胸に誓いながら、

しみじみと夜がふけていった。

くぅ〜!幸せだなぁ。

■高友旅館
住所:宮城県大崎市鳴子温泉鷲ノ巣18
電話: 0229-83-3170
宿泊:通常宿泊/8,790円~・湯治部宿泊/4,390円~
日帰り入浴:500円

記事:ショチョー
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2017-05-07 | Posted in 北海道/東北No Comments » 

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