卓球温泉のぬる湯で横溝正史の頁をめくる極上時間。/田沢温泉
【長野県:田沢温泉】
昨年の12月年末前。
長野は青木村にある
田沢温泉に行ってきました。
東京から新幹線で1時間半、
上田駅よりバス30分、徒歩30分。
木造建築が有形文化財に登録されている、
「ますや旅館」にお世話になりました。
昔、島崎藤村が宿泊したことや、
松坂慶子主演の映画「温泉卓球」の
舞台となったことでも有名な旅館です。
もちろん旅館の中も、
昔のままの木造で、歩くたびに
キシキシ音が鳴ります。
知人に、一人旅は危険だから、
必ず部屋に鍵をかけるよう言われましたが、
建物が古すぎて、鍵がありませんでした(笑。
温泉に入るのにも、
長い木造りの廊下を歩きます。
せっかくなので、
まだ日のあるうちに入りました。
田沢温泉は、昨今、
希少価値が高まっている「ぬる湯」。
38度から40度くらい。
高温でないため殺菌作用が低いぬる湯は、
管理がたいへん難しいそうです。
微弱な硫黄臭が漂うさらっとしたやわらかいお湯で、
何時間でも入っていられるくらい、
気持ちのよい温度でした。
さすがに冬だったので、
露天風呂に長居はできませんでしたが、
内湯に、二時間くらいは浸かっていました。
ほかにお客さんも入ってこなかったので、
百田尚樹の文庫本「永遠のゼロ」を持ち込んで、
月が明るくなるまで読みふけっていました。
温泉からあがったら、
お部屋で夕ご飯をいただきました。
地元の野菜がすごく甘くて驚きました。
信州は海がありませんので、
ここでは鯉が名物だそうです。
料理も派手なわけではないですが、
器ひとつひとつが美しく、
とても丁でな旅館だなと思いました。
お腹を休ませて、寝る前に、今度は
横溝正史の「犬神家の一族」をもって、
再びお風呂に入りました。
信州が舞台の推理小説であることを、
旅の途中で知り、
上田の小さな本屋さんで買いました。
夜も、だあれも入ってきませんでしたので、
ゆっくりぬる湯に浸かって
読書をすることができました。
田沢温泉「ますや旅館」http://www.masuya-1ban.com/
記事:ayu
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