ダテじゃあないぜ、信玄の濃厚隠し湯/小谷温泉 大湯元 山田旅館

【長野県 小谷温泉大湯元 山田旅館】
大糸線の南小谷駅からバスに乗って
やってきたのは小谷温泉の山田旅館。
いやぁ、感動したなぁ。
山の中にいきなり3階建ての渋い建物がそこにあるわけで。
江戸時代に建てられた登録有形文化財の木造建築。
いや、温泉街の中に建っているならわかるけれど、
こんな山の中に、それがドーンとあるわけで、
なんだか山の中で大正時代とかに
タイムスリップしたみたいな、そんな感じだった。
写真では見ていたけれども、実物のオーラはやっぱりすごい。
くぅ〜、泊まりでくればよかったなぁ。

さっそく中へ入って日帰り入浴を乞う。
館内も年季が入っていて、
でもしっかり日々の手入れが行き届いているらしく、
古い木材がいい感じに艶を放っている。

自炊の台所には
コイン式ガスコンロがずらりと並んでいた。
アルミの薬缶もなんかいい味出していたので
写真をパチリと一枚。

あれこれ見ながら
あ〜、やっぱり宿泊にしておくべきだったなぁと、
悔やんでいるうちに浴室に到着。
浴室の扉のガラスも凝っていて素敵だなぁ。

浴室は床のタイルが大正モダンな感じで
壁面のタイルや洗い場はわりかし新しく、
それでいて湯船のフチの析出物はこってりと。
3~4人ぐらい入れる湯船に、
2メートルほどの高さから源泉が打たせ湯のように
じゃばじゃばと注がれていた。
おお、これは、ちょっとした源泉の滝だよねぇ。
おもしろいなぁ。

しかし、見るからによさそうな湯の表情だ。
そう思って湯に浸かってみると、その直感はドンピシャリ!
熱めの湯はジワジワと身体に効いてきて、うん、こりゃいい湯だ。
やや褐色で鉄っぽい。
飲泉してみると出汁がきいたようなしょっぱい味だ。
浴槽が部分的に寝湯用に浅くなっていて、析出物でコーティングされた
トド寝用枕も置いてある。

そして注目したいのが浴室内に置かれている木のベンチみたいなもの。
これ、実はベンチではなく、源泉を打たせ湯のように
注いでいるところに長い時間をかけて
温泉の成分が固まって堆積していったものなんですね。
すごいなぁ、これは!丸太みたいだ。
なるほど、ここの湯の濃厚さを
このベンチみたいなのが物語っているというわけだ。

ちなみに、この内湯には「現夢(うつつ)の湯」という名前が付いている。
なんでもその昔、武田信玄の家臣の夢枕に観音様が立って、
この湯のことを告げられたとかで、その伝説にちなんで名付けられたとのことだ。
そう、ここ小谷温泉は信玄の隠し湯でもあったのだ。
信玄の隠し湯って、やたらに聞くけど、
信憑性が疑わしいものも少なくはない。
でも、ここ小谷温泉に限っては、山を越えれば上越という、
そのロケーションを考えると大いにありうる。
戦国武将の隠し湯とは合戦における野戦病院のようなものだったのだから、
ここで傷を癒やし、英気を養い合戦に備えることができるというのは
信玄にとって、ライバル上杉謙信との戦において実に重要な意味をもつ。
実際、信玄の家臣の夢枕に観音様が立ったのは
川中島の戦いの最中だったと伝えられている。

なるほどね、この湯が武田軍の兵の傷を癒やしたのか。
そう思うと、やっぱりそういう湯だよね、
こりゃあ身体に効くもんねぇと、より思えてくる。
隠し湯っていうのはダテじゃあないのだ。

湯上り後、山田旅館の男前のご主人に
いろいろと話をうかがった。
あの打たせ湯のような源泉の注ぎ方は
熱い源泉を冷ます役割もあるとのこと。

また、なんでも、昔はあの浴室に「涼み台」なるものがあったそうで、
ご主人はそれを復活させたいとおっしゃられていた。
ちょうど今の洗い場を取っ払って、そこを「涼み台」にしたいのだと。

なるほど、この身体がよく温まる湯には
そういう涼み台があったらいいかもしれない。
トド寝&涼み台で、トド寝したり涼んだりしながら
マイペースで、この極上湯を楽しむのもいいなぁ。
ぜひぜひ復活させてほしいですね。

最後にご主人のナイスな笑顔を激写!

■小谷温泉 大湯元 山田旅館
住所:長野県北安曇郡小谷村中土18836
電話:0261-85-1221
入浴:元湯500円、新湯外湯700円
宿泊:12,960円〜

記事:ショチョー
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2018-10-15 | Posted in 関東/中部No Comments » 

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