アリスが穴を落ちていくようにしてその極上温泉を発見した!/市比野温泉 丸山温泉
鹿児島県 市比野温泉 丸山温泉
ネットやFBのグループなんかで、その土地の人しか知らなかったディープな情報がゲットできるようになって、それは便利でうれしいことなんだけど、ただ、その反面、自分で偶然に素晴らしいひなびた温泉を見つけるということがめっきり減った。ていうか、もうほとんどない。ついついそこにいく前にいろいろ調べちゃうから。
でも、久しぶりに偶然発見した温泉があった。2 年前の2019年のこと。
鹿児島県の市比野温泉をうろうろしていて手書きの素朴な看板が目に止まった。
「ん? あの手書きの温泉は? 元湯って書いてあるし」
こういう手書きの素朴な看板は、大当たりか大ハズレのどっちかである。経験的に当たりの確率のほうが高い気がする。そして、そういう“素朴な当たりくじ”のほうがだんぜんうれしいんだなぁ。
そんなわけで看板に近づいていくと、その先に道があるような、ないような? もっと近づくと狭い下りの道がある。まるで個人宅へ入っていくようなプライベート感満載な道。恐る恐る、そしてワクワクしながら降りていくと、これまたなんとも素朴な小屋のような受付があった。そして、その奥にいかにもジモ向けの共同浴場のような浴舎が見えた。
ひょえ〜! 萌える! 見るからに期待できそうではないか!
さっそくお金を払って、受付のおばちゃんに「思わず看板に引き寄せられて来ちゃいましたよ!」と別にいわなくてもいいことをいうと、おばちゃん、笑いながらここの温泉のことを教えてくれた。なんでも65年前に田んぼのわきに突然自噴したそうなんですね。なるほど、それで「元湯」を名乗っているというわけだ。
市比野温泉はいい湯だからこれは期待できるとなかへ入ると、さらに輪をかけて萌え萌え〜!!!
タイル貼りの浴室のど真ん中に角Rがついた正方形のタイルの湯船があるではないか。そしてそこには見るからによさそうな湯が蛇口からジョボジョボとかけ流されていた。
しかも誰もいない。独泉だ。
さっそく湯に浸かるとアルカリ系ならではのヌルスベのローションっぽい湯。湯の温度はちょっと熱めの適温43度ぐらい。湯に身体を沈めるとたちまち新鮮な源泉の素晴らしい浴感に包まれた。え〜! こんないい湯を独泉しちゃっていいですか? しかもこのチャーミングなタイルの湯船、浴室!いやぁ、これは完全に“当たりくじ”ひいちゃったなぁ。幸せだなぁ。
浴室のひなび感も申し分ない。そんな浴室に窓からいい感じに日差しが当たって透明な湯がきらきらきらめいて美しい。タイルもとっても日差しに映える。ここは天気の良い日の朝や昼間がベストタイムですね。
なんていうか、気分はまるで偶然に風変わりな白兎を追いかけて不思議の国の穴へと落ちていったアリスのようだ。ホント、あの看板から続くわかりにくい狭い下りの道はそんな感じで、その先にこんな極上温泉あるとは思わなかった。
おばちゃんの話によれば素泊まりもできるそうだ。今度市比野温泉に来たら泊まってみよう。いやぁ、今日はホント、温泉の女神が見事に微笑んでくれたなぁ。
■市比野温泉 丸山温泉
住所:鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野2295-6
電話:0996-38-1589
入浴:150円(7:00~22:00、不定休)