鶴も蘇ったという土佐最古の温泉へ。/蘇鶴温泉

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【高知県:蘇鶴温泉】※閉業しました

え~、鹿とか、犬とか、猿とか、

いわゆる動物が温泉を発見したという伝説は全国津々浦々にある。

それは、なぜなのか?

動物が発見したことにしたほうが、いかにも伝説っぽくっていい感じになるから。

…というのは冗談で、

この動物温泉発見伝説っていうのは科学的にも理がかなっているらしいのですね。

硫黄泉は炭酸ガスを出していて、それが多くの虫を集める。

するとそれを食べる小動物や魚が集まってきて、

さらには小動物や魚を食べる動物が集まってきて、と。

つまり、そうしたことと動物温泉発見伝説は

無関係ではないだろうといういうのだ。

 

さて、そんなわけで鶴が発見したとされる温泉。

1000年以上もの歴史がある、土佐最古の温泉といわれる蘇鶴温泉。

読んで字のごとく、傷ついた瀕死の鶴が、

この温泉につかって蘇ったという伝説をもつ温泉だ。

 

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高知はJR土讃線の波川駅から徒歩で20分ちょっとのところにある。

波川駅はホームだけの無人駅で、駅前には商業施設と呼べるものは皆無。

その代わり、いきなり大きな古めかしい石の鳥居がある。

 

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おお、これは気合いが入った鳥居。狛犬の風化具合もグッとくるなあ。

心惹かれたんで、鳥居をくぐって参道を歩いてみた。

しばらく歩くと、またまた年季が入った鳥居と狛犬、月田上神社と彫られた石碑があって、

参道がちょっとした山道っぽくなっている。

くずれかけたような石段をえっちらと登っていくと、さらにグッとくる鳥居があって、

その先に廃屋みたいな建物がある。それが本殿だった。渋い。めちゃグッとくる。

 

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祀られている神様は天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)だった。

古事記の天地開闢の場面で最初に現れるのが、この神様で、

現れたとたん姿を隠してしまうという、なんとも謎めいた神様でもある。

天地の創造の中心におわします至高神が祀られているのだ。

 

そんなことがわかると、この月田上神社が建つ山林の空間にも、

なんだか強い神性が感じられる気がしてきて、

廃屋みたいな凄味のある本殿が、いいいよ畏怖すべき神殿に見えてきた。

 

ディープだ。これは期待できるぞ、蘇鶴温泉。

 

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幹線道路をしばらくいって、山のほうへ道をそれて歩いていくと

あたりは里山風景になっていって、蘇鶴温泉がある。

こんなところに観光客はまずこない。蘇鶴温泉は地元の人のための温泉なのだ。

 

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蘇鶴温泉は、見た感じは普通の民宿みたいな感じの宿だった。

全5部屋の、まったく商売っ気を感じさせないたたずまい。

外観を見るかぎり1000年以上もの歴史がある土佐最古の温泉とはわからないけど、

逆に、フツーの民宿みたいなのに、実は最古の温泉というところがいい。

中へ入ると食堂の注文カウンターみたいなところがあって、

実はそこがフロントだったりする。

宿泊は一泊二食で5,500円。日帰り入浴は520円だ。

 

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さて、じゃあ、さっそく土佐最古の湯につかってみようと、

浴室へいくと、中はちょっと薄暗く湯気でもうもう。その湯気の向こうに先客がひとりいた。

小さな湯船と、大きなUの字型をした湯船がある。

小さな湯船は19℃の源泉のかけ流し浴槽。大きいほうは源泉をわかした加熱浴槽。

熱い湯と冷たい湯に交互に入ると、より温泉効果が得られるということなので、

まずは、大きな熱い湯船に入った。無色無臭ながら身体にじわりとくるいい湯だ。

 

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身体がじゅうぶん温まったところで、冷泉のほうに入った。最初は冷たかったけれど、

我慢してしばらくつかっていたら、なんとなくじわりと効いてきた感じもしてきた。

でも、軟弱にやっぱ熱いほうがいいなぁ~と熱い湯のほうに戻ったり、

そんなことを繰り返していたら、

ふいに話しかけられた。

 

「お兄ちゃんさあ、どっからきたの?」

 

先客の地元の人っぽいおっちゃんだった。

もう、お兄ちゃんっていう歳ではないんだけど、ま、それはそれとして、

こういう観光地じゃない、地元の人たちの温泉のいいところは、

たまに地元の人たちとふれあえることだ。

しばらく、そのおっちゃんととりとめのない話しをしながら

湯につかる。会話の中でさりげなく(しつこく?)三回ほど、

「空港の近くの鍾乳洞は見た?俺が白タクやってあげるから、

鍾乳洞、見ていかんか?」と誘われた。これもある意味グッときた(笑)

 

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おっちゃんの「俺が白タクやってあげる」攻撃をやんわりかわし、

湯を上がって休憩室でひとやすみ。

胡瓜とツナ和えを肴に瓶ビールをいただく。

前はちょっとしたつまみをいろいろ出していたそうだが、

いまはこんなお通しみたいなものがあるだけだという。

地元の人はたぶん持ち込みなのだろう。

しかし、こんな少量のつまみのほうが冷たいビールが効く。

 

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波川駅までの帰り道、「ツガニ汁あります」という貼り紙があって、気になった。

わざわざ「あります」と書いてあるから、それだけ人気なのだろう。

帰ってからネットで調べてみると、モズク蟹という川蟹をすりつぶしてつくる汁とのこと。

あ~、それは濃厚な味がしておいしそうだ…。買ってみればよかったなあと、かなり後悔。

 

でも、後悔といえば、あのおっちゃんの誘いにのってみるのもありだったのかもしれない。

それはそれで…

いかがわしくも楽しい旅の思い出になったのではないかと思わなくもないのである。

 

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蘇鶴温泉 http://urx.nu/6eR3

 

記事:ショチョー

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2014-01-13 | Posted in 四国/九州No Comments » 

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