国鉄時代からひっそりと湧き続ける、厳かな山湯。/ 武田尾温泉
【兵庫 武田尾温泉 / 元湯】
ひなびたいい温泉地が、
兵庫は西宮市にもあると、
父と母から教わり、
連れて行ってもらいました。
夙川方面から車で1時間。
山の中を抜けると、
大きな赤い橋が現れます。
渡った先が、
太閤秀吉方の落ち武者によって
発見したとされる「武田尾温泉」です。
関西の「奥座敷」とも呼ばれ、
紅葉が美しいことで有名です。
(レポートは3月末です)
川沿いの道をしばらく歩くと、
山の方へと向かう道が現れます。
老舗旅館マルキ旅館さんの
渡り廊下をくぐり、
さらに奥へ奥へ、
木造りの門をくぐります。
すると道沿いの右側に、
温泉成分を書き込んだ
大きな看板が見えてきます。
山を背にして建っている、
民家のような建物こそ、
今回の目的地、
武田尾温泉「元湯」です。
国鉄時代から
お湯を守り続けて、
今のご主人で4代目、
歴史ある古ーい温泉宿です。
ただ今は、
女将さんの具合が悪いとのことで、
昨年より、貸切の立ち寄り湯だけの
運営をひっそりと続けているそうです。
宿の前には、
国鉄時代のだるまストーブや、
踏切の板をはじめ、
より重たい荷物を運ぶために、
太く改良した新しいレールと
古いレールを上手に繋いだ、
当時の技術力ではたいへん珍しい、
貴重な加工部分も残されており、
ひとつひとつ丁寧に、
ご主人が説明をしてくれました。
さあ、
受付で1000円を払って、
お待ちかねの温泉へ。
ロビーを通り抜けると、
うわっ、古いですね。
残念ながら、私は
遊んだことがありません。
さらに続く廊下には
国鉄時代の列車の写真が
数々と並んでいました。
趣のあるマッサージ椅子も2つ。
ハイキングに訪れる
常連さんのものが
洗面台には並んでいます。
もう一つ扉を開けると、
温泉の入り口がありました。
脱衣所もこじんまり、
きれいに掃除をしてくれていて、
清潔感があります。
内湯への扉を開けた瞬間、
あたたかい温泉の湯気がもわっと。
2、3人で
ゆったり浸かれるくらいの
心落ち着くしずかな広さです。
肩まで浸かると、
高めに設置された窓から
山の光が差し込んできて、
なんだかとても、
厳かな雰囲気になります。
無色透明のやわらかいお湯は、
源泉が26度程度とのこと。
加温したお湯が
下から湧き続け、
常に水面を揺らすため、
光にキラキラ反射して
とっても綺麗です。
効能としては、
神経痛や筋肉痛、疲労回復があり、
長年、ハイカーたちに
重宝がられる理由も分かります。
水色のレトロなタイルも、
雰囲気がありますね。
いろんな条件があいまって、
なんとも神々しい内湯だと思いました。
お昼は地元の居酒屋さん兼、食堂で、
猪肉入り味噌うどんをいただきました。
お味噌の味が、絶妙で、
とっても美味しかったです。
今、
武田尾温泉は
観光開発に向けた
工事が始まりつつあります。
心休まる雰囲気は
大事に残してくれたらいいなと
思います。
記事:ayu
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