温泉マーク礼讃。

onsen

 

 

世の中いろんなマークがあるけれど

温泉マークほどよくできたマークはそうそうあるものではない。

まず、デザインがいい。

湯気を表す三本線と、湯船を表す丸。

それだけで、温泉をまったく無駄なく表している。

洗練されたデザインでありながら、

かわいくほっこりするデザインでもある。

温泉地なんかで,あのマークが焼き印で押された

温泉まんじゅうがずらりと並んでいるのを見て、

ちょっとうれしくなってくる人も少なくはないはずだ。

なんとも平和でのほほんとしたアイキャッチ効果を

もっているのが温泉マークなのだ。

 

しかし、そんな温泉マークにもかつて受難の時代があったのだという。

時は昭和20年代の後半。売春防止法の施行によって

赤線が廃止され、その赤線業者がこぞって旅館業へと転身した。

旅館業といっても、その実態は連れ込み宿だ。

そうした旅館が客寄せとして看板やネオンに

こぞって温泉マークをかかげたのである。

そんなことからその手の旅館は、温泉マークがくらげを逆さにしたような

マークであることから、隠語で「逆さくらげ」と呼ばれるようになった。

つまり、そのころの東京では、温泉マークは、温泉というよりは

連れ込み宿を連想させる淫靡なマークになってしまったのである。

あやうし!温泉マーク。

 

昭和30年代になって、そんな温泉マークに救いの手が差しのべられた。

当局から温泉マーク禁止のお達しが出たのである。

また、そのころは連れ込み宿が和風のたたずまいから、

派手なラブホテルへと姿を変えていった時代でもあった。

かくして繁華街から次々と温泉マークが消えていったのだった。

 

もし温泉マーク禁止のお達しが出ていなかったら、

あの焼き印で温泉マークが押された温泉まんじゅうも

かわいいというよりはエロいまんじゅうで、

お土産に女子社員に配りでもしたら

セクハラで訴えられちゃうまんじゅうになっていたのかもしれない。

ま、そもそも、そんなまんじゅうをお土産屋さんで売るかということだけど。

 

さて、そんな温泉マークであるけれど、

このマーク、温泉を表していると同時に、

温泉の正しい入り方も表していたりするということは

意外と知られていない。

温泉マークの3本の線は真ん中が長くて両端が短い。

それは温泉は段階的に3回入るのがいいとされ、

1回目はさっと入って、2度目はじっくりとつかり、

3度目はふたたびさっと入ってすますのが正しい入り方であると

いうことを表しているそうな。

 

う~ん、つくづくよくできたマークではないですか。

 

 

記事:ショチョー

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2014-01-26 | Posted in その他1 Comment » 

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コメント1件

 サワー | 2014.01.28 14:44

ホッピーが好きなサワーです。
「旅の恥は掻き捨て」と言う言葉がありますが、よく日本人(ドイツ人も)の特性を捉えている言葉ですよね。
「旅先でぐらい日常から離れろ」と言ってるようにも聞こえますが。
「ひな研」の趣旨とは離れてしまいますが、土地に縛られて生きてきた日本人にとって、「旅」は貴重な「ハレの日」だったのでしょうね。
社員旅行で行った温泉場で暴れている不逞な勤め人は、意味を履き違えておりますな。

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