廃墟なアールデコ湯!?/穴原温泉元湯・富士屋旅館

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【福島 穴原温泉元湯・富士屋旅館】

飯坂温泉といえば、古くから湯の質も誉れ高く、奥州三名湯の

ひとつとして数えられる(他、鳴子温泉、秋保温泉)名高い温泉街であるけれど、

その奥座敷のような位置にこじんまりと広がっているのが穴原温泉である。

福島で手軽に行けて、飯坂温泉みたいな温泉街的なところではなく、

もうちょっと自然豊かなところのほうがいいなぁっていう人に向いている。

そんな温泉街だ。

で、その穴原温泉の元湯を名乗る富士屋旅館が、かなり渋い。

ただ、ここは正直、万人向けではないと思うのだけれども、

う~む、でも、紹介せずにはいられないのですね。

穴原温泉へは福島交通飯坂線の飯坂温泉駅から2kmちょっとの距離。

本数が極めて少ないバスか、あるいは駅にレンタサイクルもあるので

それで向かってもいい。

ただ、ひな研的にはやはり徒歩を選んで、のんびり気ままにいこう。

松尾芭蕉の銅像が立つ飯坂温泉駅前から摺上川(すりかみがわ)に

沿うように、飯坂温泉街を突っ切っていく感じでひたすら歩くというコース。

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飯坂温泉街のところどころに、名物のラジウム玉子の直売所がある。

まあ、いわば温泉玉子なんだけど、ほのかな温泉の香りにつつまれて

とろりとおいしい。これをごはんの上に乗せて

しょう油をかけて食べるのがたまらんのですなぁ。

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奥十綱橋を渡った先に

小高い山をバックに数軒の旅館やホテルがある。

そこが穴原温泉である。

実はこの穴原温泉は、森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺主演の

人気映画「駅前シリーズ」の「喜劇駅前旅館(1962年)」のロケ地にもなり、

富士屋旅館も撮影場所になっている。

映画の中では奥十綱橋も印象的に登場して、橋自体は今はもう往時の面影はないが、

橋を支えた石柱だけが、なぜだか今も現地にポツンと残っていたりする。

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さて、富士屋旅館へと向かおう。

富士屋旅館は、いちばん古めかしい看板を探せばすぐわかる。

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鉄筋コンクリート造りの建物と純和風の木造建築が

無理矢理に合体させたかのような外観がとてもユニークである。

また、ユニークなのはそれだけではない。

普通、昔の旅館といえば、入り口の引き戸をガラガラと開けて、

そこに三和土があって、さらに上がり框があってそこに旅館のスリッパが

ずらりと並んでいるものだけれども、

富士屋旅館は、なんと入り口の引き戸の外に上がり框があって、

そこに旅館のスリッパがずらりと並んでいるのである。

というわけで、外でスリッパを履いて、引き戸を開けて中に入る。

う~ん、ユニークだ。昔はこういうのが普通だったのだろうか?

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女将さんに日帰り入浴をお願いしますと告げて

お風呂へと案内してもらう。

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こちらがお風呂ですと女将さんが手で示したほうを見ると、

レトロな感じの空間に「ゆ」と白く染め抜かれた大きなのれんが

かかっている。暖簾の向こうはさらに階段があるようだ。

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のれんをくぐってガラス戸を開けると、ん?改修工事中なのだろうか?

それとも補強なのだろうか?ブルーシートに覆われた仮の柱のようなのが

立っていて、階段の下には、やはりレトロちっくな空間が広がっている。

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おお~、昭和だなぁ。

しかし、タイルや石垣風の装飾が施されていたり丸い石柱風の柱があったり、

頼りなさ気なつっかえ棒みたいなのがあったりと、なにげにカオスな感じだ。

ん?椅子に粋な感じの味噌蔵の前掛けがかぶせてある。

もしや?と思って前掛けをめくってみたら、案の定、椅子の座面が破けて

スポンジがのぞいている。

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浴室の入り口と思われるところには

安っぽいビニールのカーテンが吊るされている。

その傍らに「カーテンをそっと押してお入りください。」と

張り紙された看板がある。

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というわけで、それにしたがってカーテンをそっと押して中へ入った。

おお~!

すごいぞ、この空間は!

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えらく黒ずんでいて、所々が苔むした(苔なのかな?)、廃墟めいた空間だけれども、

よく見ると円柱や梁の曲線が、なにげにアールデコだ。

いや、これをアールデコといってしまっていいのか?

アールデコが怒り出すのではないだろうか…、

ま、いずれにしても、ここが完成した当時はさぞかしハイカラだったのだろう。

それが今やこんなにも廃墟チックになっている。

浴槽はふたつあって、ユニークなのがそのふたつの浴槽の間に

小さな手洗い槽みたいなのがあって、そこでパイプから出てくる源泉を受けて、

ふたつの浴槽へ振り分けている。

なかなか珍しいですね、こういうの。

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飲泉用のコップがあったのでちょっと飲んでみた。

浴室に硫黄臭が立ちこめていたので、

飲泉も期待できるなぁと、飲んでみたら、

味は期待通りの胃腸によさそうな味わい。

しかし…?熱いなあ、50℃以上ある?

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洗い場とかがないので、

湯船からケロリン桶で湯をくんで、まずはかけ湯を。

熱!

ちょっとひるんでしまったけれど、

熱い湯はきらいじゃない。

ここはひとつ男らしくざぶりといこうではないか。

てなわけで、足を入れる。(あ、熱…)

ざぶりとつかる。熱!!!!(たまらず湯船から脱出)

無理。やっぱり熱すぎる。

そういえば近くの飯坂温泉には鯖湖湯という

有名な激熱湯があるもんなぁ。

ここらへんの源泉は熱いのかな?

敗北感を噛み締めながら水道の水で湯をうめる。

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なんとか入れるぐらいまで湯をうめて

あらためて湯船にざぶん。

硫黄臭のある透明な湯で、うんうん、いい湯ですなあ。

湯につかりながら、このインパクトたっぷりな浴室空間を

眺める。賛否はわかれるだろう。

おそらく「否」のほうが多いに違いない。

でも、ひな研的には、こういうのきらいじゃないんだなぁ。

いや、むしろ好きです。

この渋い味わい。このパセティックな廃墟感。

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さてさて、いい湯を心いくまで堪能したので、

いつものように、湯船足出しカットを自撮り。

カシャリ!

おお、さすが熱湯。足が真っ赤になっているねぇ(笑)

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帰りに飯坂温泉街にある老舗のラーメン屋さん「保原屋食堂」の

ラーメンをいただいた。

ここらへんのラーメンは飯坂ラーメンといって、

ここ飯坂町にある製麺工場がおみやげ用として開発したのがはじまりで、

その後地元のラーメン屋の協力によって、

こうやって温泉街で食べられるようになったのだという。

特長としては、細い平打ち麺でつるつるしたのどごし。

スープはすっきり醤油味。

なんでも麺にトンコツエキスを練り込んでいるそうで、

それがうまさの隠し味になっている。

おいしいですよ。

温泉街で飲んだあとに、

こんなラーメンを〆にいただけるなんて、

いいなぁ。実にいいなぁ。

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富士屋旅館
福島県福島市飯坂町湯野字新湯11番地
TEL(024)542-3191
日帰り入浴料金:500~
外来者用営業時間:16:0021:00
http://anabara-fujiya.sunnyday.jp/

保原屋食堂
福島県福島市飯坂町字東堀切11
TEL(024)542-4348
月曜夕方休

記事:ショチョー

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2016-04-29 | Posted in 北海道/東北No Comments » 

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