北のゆるひなユートピア/蟠渓温泉・伊藤温泉旅館 ひかり温泉

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【北海道 蟠渓温泉・伊藤温泉旅館 ひかり温泉】

蟠渓(ばんけい)温泉は、北海道の洞爺湖から10㎞ほど離れたところにある、

まぁ、いってしまえば、さびれた温泉地である。

もともとはアイヌの人たちの湯治場だったそうで、

蟠渓温泉という名も、アイヌ語の「パンケ・ユ ( 川下の湯 )」に由来する。

最盛期には芸妓衆もいる温泉街だったそうだけど、今では見る影もない。

ホント…、ほんまかいな?って感じになっている。

現在、蟠渓温泉の宿泊施設は3軒残すのみで、

そのなかで、いちばん古いのが伊藤温泉旅館ひかり温泉で、創業は明治16年。

2番目に古い旅館である蟠岳荘が昭和25年創業なので、

ここらへんでは(…といっても3軒だけですが)文句なしの老舗旅館だったりする。

伊達紋別駅からバスに乗って約40分。

バス停付近は温泉街といったような風情はなく、

たんなる田舎の国道沿いの景色が広がるばかりで、

少し歩くと蟠渓温泉の看板があったりするのだけど、朽ちかけている。

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伊藤温泉旅館ひかり温泉はバス停のすぐそばにあった。

破風造りの屋根と煙突が目を引くレトロな建物。

屋根は今でこそトタン屋根だけど、おそらく昔は瓦屋根だったのではないだろうか。

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敷地内に手づくりっぽい古ぼけた鳥居をかまえた小さな祠があったので、

まずはお参りを。空き缶製の、これまた手づくり感満載な賽銭箱が置いてあった。

決してうまいとはいえないマジックペンで書かれた「御賽銭」の手書き文字にグッとくる。

で、この手づくり賽銭箱は、この旅館のノリをさりげなく予感させるものでもあった。

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玄関に入って「すみませーん!ごめんくださーい!」と声をかける。

誰も出てこない。こけしやらタヌキや象の置物やら大黒様やら、

やたら置物が置いてあるところが印象的だった。

で、よく見るとそのひとつひとつの頭の上に500円玉がのっている。

大黒様とかにいたってはお腹に500円玉が貼ってある…

なにかのおまじないだろうか?

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しばらくそれらを見ていたら、奥のほうで人の気配がしたので

もういちど「ごめんくださーい!」と呼んでみた。

すると女将さんらしきおばさんが出てきて、部屋に案内してくれた。

老舗旅館の女将というよりは、気さくな農家のおばちゃんといった感じの人だ。

カラオケ唄いたくなったら使っていいからね。と、見せてくれた

そこにはは学芸会もかくやといった感じの手づくり感炸裂のカラオケステージがあった。

ここで「津軽海峡冬景色」でも熱唱してみたい気も…しないでもない。

う~ん、きらいじゃない…。いや、いいかもしれない。いい!

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通された部屋は6畳ぐらいの広さ。

1泊2日2食付きで5,000円だ。安い。

ちなみに素泊まりだと3,000円。5泊以上の湯治だと、

なんと2,600円だそうだ。

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館内も部屋も湯治場の雰囲気が残っている感じだった。

使われているのかわからない渋い木のロッカー。自炊用の台所。

廊下を歩くとミシミシと足音がする。味わい深いねえ。

トイレは共同で、照明のスイッチがわかりずらいところにあって、

壁に手書きで「スイッチ→」と書かれてあるところに…

グッときた。

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さて、部屋でひと休みしてから向かったのはもちろん風呂だ。

でも、館内の風呂ではない。

オサル湯という、ここらへんでは名物の風呂だ。

名前からして、なんとなく地獄谷温泉みたいな猿が入っている温泉を

思い浮かべてしまうかもしれないけど、そういうのではない。

アイヌ語で「オサル」は「河口のアシの原がある」を意味するそうで、

そう、オサル湯とは、伊藤温泉旅館ひかり温泉から歩いてすぐのところにある

長流川(おさるがわ)の河原にある野天湯のことなのである。

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オサル湯がある河原へいくと、

確かにそこら辺の岩で囲んだ湯船らしきものがいくつかあった。

湯船に手を入れてみると…熱!!!熱々の湯だった。

予想を超えて熱かったので、もしかしたら川の水もお湯なんじゃないかと

思って川の水に手を入れてみると冷たい水である。

湯船と川の間はほんの数メートルだ。

このオサル湯、以前はすぐそばにある蟠渓健康センターが管理していたそうだけど、

同センターが廃業してからは放ったらかしなのだそうだ。

湯が熱すぎたので、つかるのはあきらめて足湯として足だけつかった。

熱!!!…10秒ともたない。

とりあえず足を入れて写真を撮って、宿に引き返した。トホホ。

(東京へ帰ってからネットでオサル湯を調べてみたら、自分がつかった(足だけだけど…)

ものよりも立派な湯船の写真があった。もしかしたらホンモノに入りそこねたか?トホホ…)

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さて、ではでは本命の湯につかろう。

ここ伊藤温泉旅館ひかり温泉には「ひのき風呂」「石風呂」「家族風呂」「内風呂」「足湯」と

5つの湯がある。順番に入っていこうと思ったら、なんと、ここも激熱!

この日の客は自分だけだったので熱々のいちばん湯というわけである。

片っ端からお湯をうめて入るのも気が引けたので、

大本命の内湯につかることにした。そうそう、内湯につかりたかったのだから。

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内湯へ向かう階段を降りると、フィットネスバイクが鎮座する

こじんまりとした脱衣所があった。

この空間で湯上がりかなんかにここで、このフィットネスバイクをこぐのは

かなり勇気がいるだろう。そんな姿を思わず頭に浮かべる…

浴室のドアには、どこかの喫茶店の玄関マットが敷いてある。払い下げ?

う~ん、ここ伊藤温泉旅館ひかり温泉のミョーな味に……、かなりハマってきましたヨ!

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で、その払い下げマットが敷いてある浴室ドアを開けてみると…

現れた光景が、伊藤温泉旅館ひかり温泉のミョーな味にハマってきた自分のハートを射抜いた。

レトロだけでは表現できない。

レトロな味わい+伊藤温泉旅館ひかり温泉のミョーな味が、

ここに見事に結晶したかのような、オンリーワンな世界が目の前にあった。

すばらしくレトロな浴室空間。それはそれで感動したけど、

それ以上に目を引いたのが、

まるで銭湯のペンキ絵のように描かれたイラスト観光マップと、

さらには「蟠渓ひかり温泉音頭」なる音頭の歌詞だった。

蟠渓ひかり温泉音頭!

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いろいろとおもしろいぞ、ここは!

湯船は「ぬる湯」と「あつ湯」のふたつ。

ペンキ絵の半円形の湯船が「ぬる湯」で、いびつな長方形の湯船が「あつ湯」である。

「ぬる湯」は札がかかっていて、「あつ湯」の方は、なぜか手書きで壁に直接書かれている。

じゃあ、さっそく「あつ湯」に入ってみよう。

熱!

ま、なんせ「あつ湯」ですからねえ。そうでなくちゃ。

しかしなんか今日は激熱ばかりだなぁ。

ちょっとだけお湯をうめさせていただいて(あ、これでも一応、熱湯好きなんですけどねぇ…)、

まずは「あつ湯」を堪能する。

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さて、では「ぬる湯」につかるとしよう。

しかし、思った通り、この日は「ぬる湯」も熱々だった。

しかたなしに少しうめてつかる。

半円系の湯船につかりながら目の前のペンキ絵をまじまじと見る。

「蟠渓ひかり温泉音頭」の歌詞の終わりのほうに、

なにかが書いてあって明らかに消した跡がある。

なんだろう?これは…

考えられるのは、このイラストの作者名とか、あるいは作詞者の名前か?

でも、なぜに消す?

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お湯は無色透明でクセのないさらりとした湯。

源泉がチョロチョロと出ている蛇口は

温泉の白い堆積物に覆われて雪だるまみたいになっている。

しかし、たまりませんねぇ、くすんだ水色のこのひなびた空間は。

そしてこの渋い空間の中に、こういうペンキ絵があって、

それが独特の世界観をかもしだしている。

これはひな研的にすばらしい収穫といえるだろう。

来てよかったなぁ。

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夕食は旅館というよりは民宿のご飯って感じで、

ご主人と女将さんとテレビを見ながら食べた。

ホント、普通の家で、「晩ご飯食べてけば?」みたいな感じで

食べている感じである。

ご主人が「うちのお風呂どうだった?」と聞いてきたので、

「いや~、いい湯だったし、なによりもおもしろかったです。

あの音頭は誰がつくったんですか?もしかしてご主人?」と逆に聞いてみた。

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ご主人の話しによれば、あのペンキ絵をあそこに飾ったのは先代のご主人のときなのだそうで、

なんでも有名な作詞家さんが作詞してくれたとか。

「曲はどんな感じなんですか?」って聞くと、ご主人笑いながら。

「最初の歌詞が長くてね、曲がつけにくいんだよね。語呂も悪いし」という答え。

曲はついていないらしい。

確かに最初の出だしだけ歌詞は長いようだけど…、

ま、そういうものなんですかね…

(けっきょく、歌詞の終わりのほうの、なにかを消した跡のことは

聞けずじまいだった。ご主人、話好きなようで、話題がころころ変わっていくのだ w)

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翌日は伊藤温泉旅館ひかり温泉の、独特な余韻を感じながら

伊達紋別駅の駅前食堂でテキライスをいただいた。

リニューアルしているから、そうは見えないけれど、

創業55年の老舗の駅前食堂なのだそうで、

確かにテキライスは昭和そのものの味わいだった。うまい!ビールにも合う!

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しかし、伊藤温泉旅館ひかり温泉。ユニークな旅館だったなあ。

なんだか、なにもかもがミョーな味があって、いい感じにひなびていて、

お湯もいい湯だったし、女将もご主人もいい人だった。

なによりも、あのゆるゆるな感じの浴室空間にヤラれた。

伊藤温泉旅館ひかり温泉は「北の大地の、ゆるひなユートピア」である。

と、そんなふうに記憶しておこうと、ほろ酔い加減で思ったのでありました。

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■伊藤温泉旅館 ひかり温泉
北海道有珠郡壮瞥町蟠渓19
TEL 0142-65-3000
不定休
日帰り入浴料金:400円
外来者用営業時間:8:00~20:00
1泊2日2食:5,000円、素泊まり1泊2日:3,000円

■美樹食堂
北海道伊達市山下町59
TEL 0142-23-2636
営業時間:9:00~18:00
金曜定休

記事:ショチョー

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2016-06-17 | Posted in 北海道/東北No Comments » 

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