信州でひなびたハイカラ湯に出会う/角間温泉・越後屋

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【長野 角間温泉:越後屋】

特急ゆけむり号に乗って、長野電鉄の終着駅である湯田中駅を降りると

そこには外人さんがいっぱいいた。

なるほど、これが噂のインバウンド観光の効果なのか。

お目当ては渋温泉の金具屋?

いや、駅に置いてあるパンフレットを手にしている様子を見ると、

どうやらお目当ては地獄谷野猿公苑のスノーモンキーのようだ。

スノーモンキー、外国人観光客に人気急上昇中だとは聞いていたけれど、

まさかねぇ、ここまですごいとは、ちょっとびっくりだった。

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さて、でも、こちらの目的はスノーモンキーではない。

また、人気の渋温泉でもない。

角間温泉というちょっとマイナーな温泉地だ。

とはいえ角間温泉は、なかなか歴史のある温泉地だったりして、

蓮如が発見したといわれているから、室町時代から続いているわけで、

湯治向けの名湯として林芙美子、吉川英治、横山大観など数多くの文人も訪れているという。

昔はどうだったのかはわからないけれど、

今は4軒の旅館と3軒の共同湯というこじんまりとした温泉街である。

なによりも特筆したいのが

ここ、角間温泉は、まるで時が止まってしまったかのような

ひなびた風情があるのである。

人気の温泉地を横目に見るような、ちょっとはなれた場所に

そんなひなびた小さな温泉街があるなんて…

なんとも胸が高鳴るではないか。

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まずはお腹ががすいたのでなにか食べようと、

駅前を見渡すと、いかにも駅前食堂って感じの食堂があった。

入り口のガラス戸に貼り紙が貼ってあった。

「信州そばやのあっさり味 中かそば」

中華そばの「華」が「か」とひらがなで書いてあるったところに

なぜか、ちょっと惹かれたので入ってみることにした。

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出てきた、やさしそうな感じの店のおじさんに

さっそく中華そばとビールを頼む。

おじさんが厨房へと引っ込んで、

しばらくするとネギをきざむ音が聞こえてきた。

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出てきた中華そばは、期待通りのなつかしい中華そば。

あっさりスープにあった縮れ麺がうれしい。

上機嫌にいただいていると、再びおじさんが出てきて、

「よかったら食べてください」と、りんごを出してくれた。

う~ん、なんかいいなあ、この食堂。

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湯田中駅から角間温泉までは約3キロの道のりだ。

もちろん歩いていこう。腹ごなしにちょうどいい距離だ。

湯田中の温泉街を抜けると、大きな幹線道路をとぼとぼ歩いて、

1時間ほどで集落のある坂道に出た。

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そこをしばらく登っていくと、小さな味わい深い湯小屋があった。

湯小屋かどうかは屋根を見れば湯抜きがあるのですぐわかる。

更に歩いていくと、なんとも味わい深い町並みが現れた。

4軒の旅館と3軒の共同湯、1軒の商店があって、

そのわずかな一角だけが大正時代の温泉街のような情緒をかもし出している。

お~!ここだ、ここだ。いいっすねえ、角間温泉。

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宿泊するのは、吉川英治が執筆のために

1年以上もの長逗留をしたという越後屋旅館。

4軒の旅館の中でもいちばん風格があって渋い。

階下から階上に向かって船底の断面みたいにせり出す造りは

明治後期の独特な様式なのだそうだ。

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今回は素泊まり。5000円というリーズナブルなお値段。

通された部屋は最上階の3階の部屋で、

細長い廊下や梯子か?と思えるような急な階段を登っていく。

うん、越後屋旅館。外観もいいけれど、屋内もいい味出してます。

さすがは明治の旅館建築だ。

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さてさて、まずは温泉だ。

せっかくなので、館内をちょっと探検してから

風呂へと向かった。

珍しい飾りタイルの階段や、また、部屋のドアの框にも

タイルが貼られていたりして、ディティールも実に味わい深いのだ。

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越後屋旅館には内風呂が3つある。

小さな家族風呂がふたつと、大浴場とまではいかないけれど

大きな内風呂がひとつ。

まずは小さな風呂から攻めていこう。

風呂に入っている時は「入浴中」の看板を下げて

鍵もかけれるので、基本すべてが貸切風呂になる。

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最初に入ったのがこじんまりとした檜造りの湯。

お湯は熱め。歩き疲れた身体にじわりと染みてありがたい。

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次に入った風呂が、なんとも想定外だった。

浴室に入ったとたん、タイル張りの妙な形の湯船に目を奪われた。

なんだ、この湯船は?

湯船の底が二段構えになっていて、

なんていうかソファの背もたれみたいなのだ。

恐る恐るつかってみると、うん、確かに湯船が身体にフィットする。

おお、これは長湯にいいかもしれないなぁ。

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浴室内に置いてある風呂おけに目をやると「ローマ風呂」と書かれてあった。

なるほど、そういわれてみれば、半円形の窓や丸いタイル張りの柱など、

チープながらもローマっぽい意匠がところどころに見られる。

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しかし、それよりもなによりも意表を突かれたのがカランだ。

カエルの形をしているである…なぜに、カエルさん?

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それともローマといえばカエルなのだろうか。

自分が知らないだけなのかもしれない…?

いやいや、そんなことはない。

しかし…、吉川英治はこのカエルのカランを、どう思ったのだろう。

そんなことを思いながらケロリンの桶をカエルの横に並べてみた。

ケロリンとケロちゃん。うん、いい眺めだねぇ…

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ローマ風呂をたっぷり堪能したあとは、

いよいよ大きな風呂といきたいところだけど、

楽しみは後にとっておこう。

というわけで、部屋に戻って長野駅で買っておいた駅弁をいただいた。

湯上がりの瓶ビールをクイクイッとあけて、持参したどぶろくをちびちびと。

うはーっ!幸せだなぁ。

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さてと、食後の風呂は楽しみにとっておいた大きな風呂へいこう。

梯子のような階段を降りて、大浴場に入浴中の看板がかかっていないことを確認して、

脱衣所でそそくさと浴衣を脱いで、期待に胸ふくらませて浴室の扉を開けると、

またもや意表を突かれたのはカランだった。

これは…

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ヴィーナスか?

それにしては顔が和風だ。

でも、ローマ風呂があるのだから、これはきっとヴィーナスなのだろう。

彼女が持つ、たぶん壺なのだろう。その壺らしきものと、手に

析出物がびっしりとついているところが角間の温泉の湯質のよさを物語ってる。

しかし、それはそうと、

吉川英治はこのヴィーナスのカランをどう思ったのだろう。

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ついついヴィーナスばかりに気を取られてしまったが、

この浴室のローマ風呂に負けず劣らずハイカラモダンなのである。

レトロな色合いのタイルの意匠は、よく見るとコウモリをモチーフにしている。

う~ん、これはかっこいいなぁ。

こんな山間の湯治場に、こういうハイカラモダンな湯があったなんて、

ちょっと感動してしまう。

ひなびたハイカラモダン湯っていうのも、思えば珍しいのではないか。

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浴室を出たところに湯治場っぽい部屋があって、

そこに年代物のマッサージチェアが置いてあった。

こうして置いてあるということは、まだ動くのかな?

お金を入れるところをよく見ると

「20円入れて下さい」という文字がかすかに読み取れた。

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翌朝は浴衣に下駄をつっかけて宿の前の湯小屋へいってみた。

基本は地元の人用の共同浴場であるが、

角間温泉の宿泊客であれば無料で入れる。

女将に湯小屋の鍵を借りた。

鍵といっても木の棒である。

この棒が、なかなかハイテクだったりするのである。

湯小屋の入り口には大きめの鍵穴みたいなのがあって、

棒をそこに突っ込むと「ビー!」という音が鳴って鍵が開く。

そう、センサーが仕込まれた棒なのだ。

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湯小屋には地元のおじさんが入っていて身体を洗っていた。

こちらに振り向いたので「こんにちは~」っと声をかけると、

にっこり笑って「お湯、熱いからね、水で埋めてもいいよ」と

声をかけてくれた。

足を入れると確かに熱い。しかし熱い湯は苦手ではないので

そのまま湯につかった。

心地よい熱さに身体がじわじわ目覚ていった。

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帰り道、湯田中温泉街の小高い場所から

角間温泉方面を見下ろしながら思った。

たまらなくひなびたいい温泉街、そしていい宿だったなぁ。

今度は一週間ぐらい泊まってのんびりしたいな。

ここに泊まって地獄谷のスノーモンキーを見にいってもいいし、

渋温泉の共同湯を制覇するのもいい。そんな感じの温泉バカンス。

うん、いつか実行しよう。

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角間温泉 越後屋 素泊まり5,000円、一泊二食8,550〜

長野県下高井郡山ノ内町大字佐野2346-1

電話:0269-33-3188

http://www.kakumaonsen.jp/echigoya.html

記事:ショチョー

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2016-01-03 | Posted in 関東/中部2 Comments » 

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コメント2件

 松村公夫 | 2016.03.31 10:36

くにまるJAPAN聞きました!
角間温泉、田舎近くの温泉です。なんだか懐かしく、温泉研究所HPも拝見しました。子供の頃と角間はそれほど変わってない様ですね、いい温泉です!
神奈川より田舎へ戻った折、立ち寄るつもりです。今後も良い情報期待します。

 hinaken | 2017.01.14 19:46

コメントに気がつかず返信が大変遅くなりました。。。
申し訳ございません。。。
くにまるJAPAN、聴いていただきましてありがとうございます!
角間温泉はいい温泉街ですね。私は人気の渋温泉よりも角間温泉のほうが好きです。
信州は歩いていて山に抱かれているような感覚があって大好きなエリアです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!温泉バンザイ!^^

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