実は極上湯だった、あの温泉/恐山・花染の湯、薬師の湯

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【青森 恐山/花染の湯、薬師の湯】

あの恐山の境内に温泉がある。

しかもそれが源泉掛け流しの、とてもいい湯である。

…ということを知ったのは、

恐山の住職代理の南直哉さんの本「恐山・死者のいる場所」に書いてあったからだった。

恐山といえば、個人的なことをいえば、

寺山修司の映画「田園に死す(1974年)」のイメージが頭のなかに強烈に

インプットされていて、いつかはあの強烈な風景を見に行ってみたい、なんて思っていた。

でも、なんかそんな理由だけで恐山へ行くのは不謹慎な気もして行けずにいたのだけれども、

温泉がある!というなら話は別である。

しかもネットで調べてみると、湯小屋がなんともいい味を醸し出しているではないか。

もう行かない理由はない。心はすでに恐山へと飛んでいった。

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新幹線でJR八戸駅へ。そこから青い森鉄道に乗り換えて下北駅へと向かう。

この青い森鉄道の車窓から見える景色が、早くも別世界だった。

原野の中を進む単線鉄道。やがて右側に陸奥湾が現れる。ワイルドだねぇ。

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下北駅からは恐山行きのバスに乗って山を登っていく。

恐山が慈覚大師円仁によって開山されたのは貞観4年(862年)のこと。

古くから下北地方では「人は死ねば(魂は)お山(恐山)さ行ぐ」と

言い伝えられてきたそうで、東北一円で霊場として信仰を集めてきた。

電車もバスもなかったころのことを思わずにいられない。

山の景色がいきなり開けてきたら、そこが恐山である。

宇曽利湖がカルデラ湖特有の美しいコバルトブルーの水をたたえている。

辺りの強烈な硫黄の匂いが鼻を刺す。

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恐山の山門の前には売店や食事処がある。

おなじみのカラフルな風車もこの売店で売っている。

幼い子供の霊が寂しがらないように供えられる風車だという。

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入山受付所で入山料500円を払って中へ入る。

温泉は無料なので、入らなければ損ともいえるだろう。

売店でちゃんと“恐山タオル”も売っているので、用意してこなかった人も

それを買って、ぜひ温泉に入ることをおすすめしたい。

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恐山といえば、なにはさておきイタコさんが有名だけど、

イタコさんがやってくるのは恐山大祭や恐山秋詣りのときで、

普段から常駐しているわけではない。

この日はイタコさんがひとりだけいて、ひっそりと口寄せを行っていた。

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参道の真ん中ぐらいに立派な山門があって、

そこをくぐると、いきなり温泉の湯小屋があった。

「古滝の湯」「冷抜(ひえ)の湯」「薬師の湯」の3つの湯小屋である。

その他に、宿坊の裏手の少し離れたところに混浴の「花染の湯」がある。

これらの温泉は参拝の前に身を清めるための湯として無料で開放されている。

つまり意味としては手水舎の水と同じというわけなんですね。

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この日は「薬師の湯」が男湯、古滝の湯」「冷抜の湯」が

女湯になっていたので、じゃあ、「薬師の湯」から入ろうと、扉を開けて中を覗くと

先客さんがけっこういたので諦めて、少し離れた「花染の湯」へ向かった。

宿坊の裏手に行くと人気はなく、「熊に注意!」という看板が立てられてあった。

え!人気はないとはいえ、こんな開けたところに熊が出るんかいな???

一応、熊がいないか辺りを見まわしてから湯小屋に入る。

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「花染の湯」の湯小屋の中には簡素な一体型の脱衣所に

ふたつに仕切られた細長い長方形の湯船がひとつ。

湯は少し白濁した硫黄泉。それが美しいエメラルドグリーンの湯となって

湯船になみなみとたたえられていた。お~!いい感じだなぁ。

「当温泉はイオウ泉ですので入浴時間は3分~10分程度とし長湯しないようご注意ください」と

書かれた貼り紙が貼ってあった。窓も開け放たれていて、

貼り紙には「入浴の際には窓を開けて換気を良くしてお入りください」とも書かれてあった。

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湯の温度は熱めで、これが肌にキシキシくる。うんうん、好きです、こういう湯。

温泉の効能がすごくありそう。でも、たしかにこれは長湯はヤバそうである。

湯船は若干浅目でこれが足を伸ばして入るのにちょうどいい感じだ。

湯の中では白い湯の花が舞っていた。

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しかし「田園に死す」に登場する恐山の温泉は

もっとおどろおどろしい感じで、しかも湯小屋だけでなく、

熊本の地獄温泉の屋根がないような感じの露天風呂もあったようだけど、

あれは実際にあったのものなのだろうか?今から40年以上も前のことだから、

ああいうのもあったのかもしれない。知っている人いたら、教えてください(^^)。

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次にさきほど先客が数人いて諦めた「薬師の湯」に向かった。

扉を開けると相変わらず先客が数人いる。やっぱりここは場所的に

独泉はむずかしそうなので、入ることにした。

入浴中もとっかえひっかえに入浴客がくるので、写真があまり撮れなかったけれど、

ここもいい感じだ。こちらのほうが湯も白濁していた。

開け放たれた窓からは境内の参道や本堂が見えるところが、なんか不思議な感じだった。

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湯上がりに地獄や賽の河原を散歩してみた。

(こんなことができるのも恐山ならではですね)

ごつごつした岩がむき出しの荒涼とした風景が広がっていて、

ところどころにカラカラと小さな音をたててまわる風車や、石積みがあった。

あちこちから火山地帯ならではの煙が立ち上っている。

たしかに荒涼とした風景なんだけど、

でも、不思議と怖さとかは感じない(夜ともなれば話が別かもしれませんが…)。

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賽の河原を越えて行くと、そこは美しい青い水をたたえた宇曽利湖が開け、

白い砂浜を形成している。極楽浜と呼ばれている場所だ。そう、地獄の中の極楽。

じつは、恐山でここがいちばん見たかった場所である。

今まで何度か写真とかでこの極楽浜を見たことがあったけど、

写真を通してでも、ここが非日常の極地のような絶景であることがわかった。

で、実際の極楽浜はどうかというと、期待を裏切らず美しい。

荒涼とした岩場よりもこっちのほうが怖い(でも美しい)ぐらいで、

不思議な静寂感をたたえていた。

しかし、賽の河原を越えて行くと極楽があるというこのロケーション。

じつにうまくできている。大切な人の霊を送りに参拝に来た人たちも

この美しい浜に心が洗われるのではないでしょうか。

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あちこちを歩きまわって

お腹が空いてきたので、門前の食事処でかけそばをいただいた。

メニューはそば、ラーメン、カレーといった簡素なものばかり。

さすがにビールとかは置いていないようだ。

お味は?といえば…まあ、まあ、それは置いておきましょう(笑)。

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恐山に来て感じたことは思ったよりもおどろおどろしくないということ。

人は死んだらどこへ行くのか…?大切な人にもう一度会いたい…

古くからそんな切実な想いを受け止めてきた場所がこの恐山なのである。

おそらく、そんな想いを受け止める恐山に、救われてきた人は数知れないのだろう。

多くの人の祈りや願いを受け止めてきた伊勢神宮の鎮守の森の空気感が

信じられないほどに清浄なように、

ここ恐山もまた、とても清浄感のあふれる場所だった。

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■恐山「薬師の湯」「花染の湯」
青森県むつ市田名部字宇曽利山3-2
0175-22-3825
開山期間:毎年5月1日〜10月末日
開門時間:6:00〜18:00
入山料:500円(温泉は無料)

記事:ショチョー
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2016-08-24 | Posted in 北海道/東北No Comments » 

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