かくれ里のような温泉郷の1泊3食の宿/湯の鶴温泉・喜久屋旅館

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【熊本 湯の鶴温泉 喜久屋旅館】

 

熊本の水俣に1泊3食で4500円という温泉宿があると聞いた。

まあ、安さはともかく、3食というのが、いまひとつわからない。

夕食、朝食、そして昼食…?  え?じゃあ、チェックアウトは何時なの?と。

というわけで、さっそく電話してみると、それは湯治客用のプランで、

1泊でもOKとのことだった。チェックアウトは昼ごはんを食べたらなんとなくという、

ゆるゆるなしばりだった。

ちなみに通常の喜久屋旅館のプランは、1泊2食で8,400円~10,500円ということだ。

 

湯の鶴温泉は水俣駅からバスで20分ちょっとぐらいのところにある温泉郷だ。

その名が示すように、今から約700年前に平家の落人が、

傷ついた鶴が湯浴みしているのを見て発見された温泉であると伝えられている。

 

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さて、水俣のおいしいものといえば、水俣ちゃんぽんである。

ちゃんぽんといえば長崎が有名だけど、ここ水俣でもご当地B級グルメなのである。

水俣ちゃんぽんの特徴は、卵を使っていない白い蒸し麺を使っているところで、

この麺が魚介の出汁と混ざった豚骨スープを吸って、モッチモチでうまいのだという。

そんなわけで、水俣駅を降りてすぐに向かったのは、ちゃんぽん屋さんだった。

駅からいちばん近くの水光社本店のファミリーレストラン。

 

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いかにも昭和のデパートの食堂って感じの店がまえで、

ホントにうまいんだろうかと、ちょっと不安になったけど、

いや、いや、いや、うまかったです。

魚介と野菜の旨味が溶けた豚骨スープを吸った、うわさ通りのモチモチ麺。

うまさの秘密はやはり、この白い蒸し麺なのであった。

ラガーの大瓶を味わいながら、気持よくほろ酔いしてくると、

昭和のデパートの食堂っぽい雰囲気が、なんだかやけに愛おしく感じてくる。

こういうのも、悪くないなあ。

 

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湯の鶴温泉はまるでかくれ里のような趣のある温泉郷だ。

バスに乗って山の上の方へと進んでいくと、

こじんまりとした川沿いの温泉郷がこつぜんと現れる。

湯の鶴バス停で降りると、赤い橋があって、

2羽の鶴の像が出迎えてくれた。

 

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で、例の1泊3食で4500円の喜久屋旅館は、そんな

温泉街の中でもひときわ目立っていたのだ。

なぜか?

廃墟めいていたから。

喜久屋旅館が廃墟というわけではない(ま、年季が入った旅館であるけれど)。

ただ、隣に使われていないボロボロの旧館があって、

それが廃墟のようなオーラを放っているのだ。

どことなく、かくれ里のような趣のある温泉郷。そこに建つ廃墟めいた旅館。

このシチュエーションは、ちょっとグッとくる。

 

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さて、1泊3食で4500円の湯治客用プランということで、

部屋はまったく期待していなかったけれど、ところがどっこい!

広い。トイレだってある。

リバーサイドの窓からの眺めも悪くない(喜久屋旅館は全部屋リバーサイド)。

日に焼けて古びた一人がけソファがあるタイル張りの小部屋なんかもあったりする。

ひなび感もかなりのものである。

う~ん、いいじゃないですか。

 

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晩ご飯まで時間があったっんで、

レトロちっくな館内をうろうろして

 

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それから近所を散歩。

湯出川沿いにつつましく広がる小さな温泉郷なので、

1時間ほどの散歩にちょうどいい。

石垣の棚田や温泉街を一望できる湯の鶴温泉神社など、見所もある。

それにしても棚田の風景はどこか胸をしめつけるものがある。なぜだろう?

 

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ぶらぶら歩いていて目についたのが、

民家のところどころに干してあった干したけのこだ。

干ししいたけのたけのこ版といえばわかりやすいかもしれない。

ここ、熊本だけでなく、南九州ではポピュラーな乾物なのだそうだ。

 

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さて、散歩を終えて、歩き疲れも程よい感じで

風呂に向かった。露天風呂と家族風呂。内湯がある。

まずは露天風呂へ。

喜久屋旅館の露天風呂は貸しきりである。

こじんまりとした岩の湯船と、年季の入った木造の建物との

組み合わせがいい感じだ。

湯は無色透明、かすかな硫黄臭がする湯。

それにしても、露天風呂を貸し切りにするっていうのがプチ贅沢でいい。

喜久屋旅館のおもてなしの心意気を感じます。

 

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で、いよいよメインの内湯へ。

晩飯後は混みそうなので、今のうちに堪能しておこう。

脱衣所の木の扉を開けると、年季が入ったヒノキの湯船が目に飛び込んできた。

湯船の底には大きな岩が敷き詰められている。

特徴的なのは、片側が窓ではなくスコンと開放されていて、

天井も湯気を抜くための湯抜き天井のため、

半露天風呂のような気持ちのいい開放感があることだ。

 

湯の鶴温泉は観光地というよりは湯治場として

続いてきた温泉郷である。

それがなんかわかるような、いい湯である。沁みるなあ。

 

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古くから湯治場として評判の温泉宿は、間違いなく、いい。

というのが結論である。豪華なものはなにもないけれど、

質のいい湯がある。商売商売していない、いい感じのゆるさがある。

民宿っぽい食事も好感がもてた。なんせ1泊3食で4500円なのだ。

ちなみ晩、朝、昼と、食事はこんなメニューだった。

 

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湯の鶴温泉街のキャッチフレーズは

「教えたい、でも教えたくない。そんな秘湯がここにあります」である。

たった一泊しかしていないけれど、これは、わかる気がしましたねえ。

なんていうんだろう、かくれ里のようなシチュエーションといい、

こじんまりとした街の規模といい、地元人たちの素朴なお人柄といい、

実によくて、人に教えたいけれど、

だからといって、あまり人が押しかけてほしくないという、

そんな温泉街なのですね。

 

ひとつ気になったのは…

喜久屋旅館の旧館が廃墟めいていることは

冒頭にのべたけれど、それだけではなく、

なぜか湯の鶴温泉には廃墟めいた建物が多い気がする。

思うに、ここ、湯の鶴温泉では、

建物が老朽化したら、改修するのではなく、朽ち果てるまで放っておく

というのが普通なのかもしれない…

どうなんだろう???

ま、どっちでもいい。この廃墟もまた、この温泉街の味だったりするのだ。

 

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湯の鶴バス停の近くに、幼い女の子がぬいぐるみを抱いている写真に

「探しています」と書かれているポスターが貼られていた。

ああ、ここでも幼女連れ去り事件なのかなぁと、暗い気持ちになったのだけど、

よく見ると、“探している”のは幼女ではなく、“ぬいぐるみ”だった。

なんでも3代にわたって大事にされてきた熊のぬいぐるみを失くしたようで、

それを“探している”ポスターなのだった。

暗い気持ちが一転して、なんだかこの温泉街の人たちの

心意気に触れたような気がして、心が温かくなった。

いいなあ、こういうのって。

湯の鶴温泉という、このかくれ里のような温泉街で

一ヶ月くらい過ごせたら、

さぞかし心の洗濯ができるのではないかしらん。

いつか実行してみたいな。

 

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喜久屋旅館 http://www.minamata-hiyori.jp/minamatown/contents/kikuya/index2.htm

 

記事:ショチョー

※当サイトのすべての文、画像、データの無断転載を堅くお断りします。

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2014-07-03 | Posted in 四国/九州2 Comments » 

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コメント2件

 河原修嬉 | 2016.11.24 21:58

今度湯の鶴温泉の喜久屋に泊まることになって情報を探していてこのブログを見つけました。 写真も良くて内容も良くて楽しく読ませて頂きました。 特に探します。ぬいぐるみは笑ってしまいました。最近旅行業を始めました。出来れば人が知らない良い温泉、田舎の美味しい所を教えて頂きたいです。 宜しくお願い致します。

 hinaken | 2017.01.14 19:34

コメントに気がつかず返信が大変遅くなりました。。。
申し訳ございません。。。
湯の鶴温泉は、本当に今思い出しても山間にひっそりとある
隠れ里のような素敵な温泉街だったなぁ、と思います。
これからも、そういう温泉街や温泉をレポートしていきますので
どうぞよろしくお願いいたします。温泉バンザイ!^^

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