おおお、ここは現代の隠し湯か!?/くすり湯

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【熊本 くすり湯】(廃業)

世の中には、真田の隠し湯とか、信玄の隠し湯とかあるわけだけど、

“隠し湯”っていう言葉は、なんとも魅惑的な響きをもっていますよね。

でも、そういう“隠し湯”は、おうおうにして秘境っぽいところにあったりする。

逆にいうなら、そういう場所にあるからこそ、

隠し湯は、隠し湯として、しっかりと隠れているのである。

ところがどっこい。街のど真ん中に隠し湯っていいたいような湯があった。

熊本県は熊本市の新町。その街なかに「電信町のくすり湯」と名を馳せた(らしい…)

湯があって、それが、なんともいい感じに“”隠れて”いたのだ。

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さて、熊本市といえば、ひとつ、触れないわけにはいられないことがある。

それは、路面電車の音。そう、熊本市は路面電車が走る街なのだ。

路面電車が走りだすウィーンという音や、線路を走るガタンゴトンという音が、

この街のいつもどこかで鳴り響いている。

そんな街なんですね、熊本市という街は。

たまたま自分は出張で熊本に来ることがよくあって、

この路面電車の音を聴くたびに、ああ、熊本にきたなぁっていう

実感を感じてやまない。音で街を感じるって、なんともいいものなんです。

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「くすり湯」がある新町辺りは、市の中心部とは違って道幅も狭く、

古い建物も残っていたりして、路面電車の音がいい感じに鳴り響くエリアだ。

つまり路面電車がよく似合う街角なのである。

「くすり湯」はそんな新町のメイン通りから

2ブロックほど入ったところにあるのだけれども、

だが、それが実にわかりにくいところにある。

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「くすり湯」がある通り沿いには、いちおう看板が出ているのだけれども、

なんていうか、その看板は歩行者の視線というものを

無視しているようなところにかかげられている。

看板はしっかり出ていて「ゆ」と書かれているけれども、

ようするに、歩行者の目に入らないんですね、その看板は。

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かつて「電信町のくすり湯」と名を馳せたというのに、

そんなことでいいのだろうか?

というよりも前に、そもそもこの新町がなぜ「電信町」と呼ばれていたのかというと

それは、明治八年に熊本ではじめて当時の電報の拠点である電信局が置かれたことから、

昔は電信町と呼ばれたというのです。

なんかレトロな響きがあっていいですね。

いっそのこと、正式な町名にすればいいのにって思うほどに。

ま、それはさておき、

さっそくこのわかりづらい看板にしたがって、狭く暗い路地を入っていくと…

うぉー!

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いやあ、渋い。ヤバい。なにこれ?いきなりタイムスリップしたみたいなこの空間。

しかもそれが細い路地の奥にあるっていうシチュエーションにたまらなくシビレてしまう。

さめやらぬ興奮状態のまま「引く」と書かれた入り口の扉を開けてみた。

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うほ、中もやっぱり激渋だ。

レトロ、あまりにレトロな銭湯空間。

番台のおじさんも、いかにも番台のおじさんって感じで味がある。

急な階段。あれを登るとどこにいくのだろう。

かつてロッカーだったと思われる“ロッカー”は金魚の水槽置き場と化している。

そして、ガラス戸越しに見える浴室は、完全に現代とは違う異空間だ。

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ガラス戸を開けて浴室に入ると、

ぬぉぉぉぉぉぉ!浴室もやっぱり激渋だ。

補強のためだろうか?

窓ガラスにガムテープがバッテンに貼られているところがすごい。

タイムスリップ感が凄すぎて、まるで映画のセットのようでもある。

湯船はふたつあって、ひとつは硫黄の匂いが立ち上る白濁した湯。

もうひとつの湯船の湯は無色透明。壁をつたっているパイプに5つ穴が開いていて、

それぞれの穴から湯がジョボジョボとほとばしっているところがすばらしい。

見ているだけで気持ちいい。

すでに地元の人が3人ほど湯につかっていて

世間話に花を咲かせていた。

このレトロ空間の中で聴く熊本弁は、なんかいいなぁ。

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しばらく硫黄の匂いが立ち込める白濁した湯につかった。

後で番台のおじさんに聞いたところによるとハップ剤を入れた湯なのだそうだ。

ちょっとぬるめで長くつかっていられる。

それからもうひとつの湯船の方へはいってみた。

こちらはちょっと熱め。激渋な空間の中でつかる熱い湯はなんともいい感じだ。

男湯と女湯の堺には常連客の“入浴セット”が置かれてあり、

その後ろの仕切り板になにやらずらずらと文字が書かれてあった。

興味深いので、ちょっと読んでみると…

この湯は江戸時代の創業で庶民の霊泉として評判を得て、

天草、島原はいうにおよばず、

関西、中国、四国から人がこの湯につかりにきていたとか、

あの神風連の乱の時には、隊士たちが

負傷の治療のためにこのくすり湯につかったとか、

日本の三大人工温泉として名を馳せたとか、

まあ、なんとも壮大なことが書かれてあった。

ほんまかいな?

で、日本の三大人工温泉…?あとのふたつはどこだろうか。

怪しすぎる…

うん、くすり湯、気に入った!(笑)

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湯上がりに近くの蕎麦屋で冷えたビールとざる蕎麦をいただいた。

いやあ、すごい湯だったなぁ。

レトロ湯はこれまでずいぶんとまわってきたけれど、

くすり湯は別格だった。

くすり湯には、なんていうか、現代の時間がまったく流れていない。

あのわかりずらい狭い路地の奥にこんな湯があったなんて…、

ていうか、あのわかりずらい狭い路地に隠されているからこそ、

くすり湯は別格のタイムスリップ感を保っていられるんだなぁと、

遠い過去から現代に戻ってきた浦島太郎のような気分で、

そんなことを思った。

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くすり湯

熊本県熊本市新町1-5-8

電話:096-353-0609

営業時間:14:30~23:30

入浴料金:400円

記事:ショチョー

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2016-01-16 | Posted in 四国/九州5 Comments » 

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コメント5件

 新町獅子保存会 | 2016.08.16 21:10

すばらしい写真です!
先の熊本地震で、残念ながら建物が損壊してしまい、8/15より取り壊しが始まってしまいました・・・。
夏にはお世話になっていたお風呂なので、かなり寂しい気持ちです。

 hinaken | 2017.01.14 19:44

コメントに気がつかず返信が大変遅くなりました。。。
申し訳ございません。。。
あのくすり湯が廃業と聞いて本当に残念です。
新町のあたりは城下町文化が感じられて好きなエリアです。
復興もなかなか進まないようですが、復活を応援しております!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!温泉バンザイ!^^

 ないちゃ | 2016.09.17 23:22

くすり湯さん、熊本地震で周辺の建物ともに深刻な被害を受け、とうとう取り壊し作業が先日から始まりました。私は今春に同じ町内に引っ越してきたばかりで、くすり湯さんで入浴できるのをとても楽しみにしてたんですが、たった数日の差で残念ながらその夢は叶いませんでした。。。

 hinaken | 2017.01.14 19:41

コメントに気がつかず返信が大変遅くなりました。。。
申し訳ございません。。。
くすり湯の廃業は残念でした。
近くの「菊の湯」は行かれましたか?ここも渋いですよ〜(^^)
http://kuma1010.com/custom/93/
熊本へはお客さんがいるので仕事で月に一度は行っているのですが
なかなか復興が進まない状況ですね。
元気な熊本願って応援しております。
今後とも宜しくお願いいたします。温泉バンザイ!^^

 ないちゃ | 2017.04.13 18:02

それがですね、菊の湯さんも昨年末で廃業してしまったんですよ。震災後は被災者への入浴支援で賑わっていたため、自宅の風呂が無事だった私はずっと行くのを遠慮していたのですが、一度も行けないまま、廃業されてしまいました(涙)

上通から近い南坪井の地獄温泉さんも廃業されたので、徒歩圏内で行ける銭湯はこれで全部なくなってしまいました。残念です~。

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