山頭火ゆかりの本物レトロ温泉街/日奈久温泉・柳屋

yanag

【熊本 日奈久温泉・柳屋】

日奈久温泉に惹かれる理由のひとつに、

このひなびた温泉街が、種田山頭火ゆかりの地であるということがある。

高倉健の遺作映画「あなたへ」で、

ビートたけし演じる指名手配の車上荒らしの男がこんなことをいっていた。

旅と放浪の違いは目的があるかないかだと思う。

その意味でいえば、芭蕉は旅で、山頭火は放浪だった。

だから山頭火はいまだに人を魅了してやまないんじゃないんですかねぇ。

 

旅に生きたわが国の詩人の系譜といえば、西行にはじまり芭蕉、

山頭火と続くわけだけれど、そのなかで山頭火だけは、旅というよりは、

得体のしれない業を背負ったような救いのない放浪のように思えて、

それゆえに山頭火が詠んだ句は、たとえば「まっすぐな道でさみしい」とか、

「生死の中の雪ふりしきる」とか、「こほろぎに鳴かれてばかり」とか、

それらを詠んだ山頭火の心情を思い浮かべて味わうと、

いよいよ尋常ではない業を感じさせる句となって胸に迫ってくる。

yanagi001

yanagi002

yanagi071

yanagi070

yanagi056

今回、宿をとったのは柳屋さん。

温泉街のからくり時計がある広場の前にある、

いわば日奈久温泉の玄関口にたっているような老舗の宿だ。

日奈久温泉といえば登録有形文化財にも登録されている木造三階建ての金波楼が

有名だけれども、柳屋はその金波楼よりも古い老舗旅館である。

 

柳屋の創業は明治22年。

日奈久温泉の玄関口の旅館としてかれこれ130年近くも営業している。

でも、そんな柳屋が登録有形文化財に登録されることは決してないだろう。

それというのも、柳屋はたしかに明治や大正の面影を残した味わい深い木造の旅館なんだけど、

たぶん、金波楼のように、いにしえの文化を今に伝えるみたいな意識はゼロ。

時の過ぎゆくままに今日に至ったって感じの宿なんですね。

たとえばファサードはこんな感じ。

yanagi006

でも、ちょっとノリが違うこんなところも。洋風?

yanagi09

で、別の角度から見ると、んんん?ここやっているのか?みたいな廃墟チックな

ところもある。

yanagi054

でもねえ、ひな研的には、そんなところにですねぇ、ググっときちゃうんですねぇ。

そんな柳屋は宿泊料も安い。

今回は夕食なし朝食付きで一泊のプラン。で、なんと一泊3,800円!

ほとんど湯治向けの宿なみのお値段なのであります。

ちなみに部屋はこんな感じ。

yanagi010

yanagi044

そして要所々々に明治・大正の匠の技を感じさせる欄間や格子などが

あるところは、さすがは老舗の旅館。

yanagi007

yanagi013

yanagi012

yanagi011

yanagi014

yanagi008

yanagi041

これで一泊3,800円は、どうです?すごくないですか?

柳屋へは19時過ぎと遅い時間に着いたので

さっそく風呂へ向かいつつ、館内を探検。

う~ん、やっぱりいいですねえ。長い時を経た木造建造物は。

どこ見ても空間に時間が染み込んでいる感じで、

つくりものではない、ホンモノのレトロ感を醸し出していますね。

とくにグッと来たのが階段。以前、知り合いの建築家さんが

「階段は空間にドラマをあたえる」なんてことをいっていたけれど、

まさに柳屋の階段はドラマフル。

踊り場に置いてある古いシングルソファがいい味出している。

突きあたりの廊下の窓からは金波楼の立派な建物が見えた。

yanagi018

yanagi019

yanagi024

yanagi023

yanagi026

yanagi016

yanagi027

yanagi017

yanagi028

柳屋の館内は熊本地震の影響で、ひび割れなど、ところどころが

被害をうけていた。

部屋に案内してくれたご主人は「まあ、しょうがないよねぇ」と

明るく笑っていたけれど、その心中は察してやまない…

yanagi0005

yanagi0006

yanagi0001

柳屋の風呂は離れにある。

中庭の通路を通って行くと、色あせた古めかしい暖簾がかかった風呂場がある。

これがまた渋い味わいを醸しだしているのだ。

yanagi031

yanagi032

yanagi033

湯船は2人入ればいっぱいのちいさなものがふたつ。

かけ流しの湯がオーバーフローして、もうひとつの湯船に

注がれるので、自ずと湯が注がれている湯船の湯は熱く、

もうひとつの湯船の湯は若干ぬるめになる。

湯はさっぱりした弱アルカリ単純泉。

湯治の湯として600年間以上愛されてきた湯だけあって、

さっぱり感がとても身体に心地よい。

さすがは山頭火をとりこにした湯なだけあるといいたい。

yanagi034

yanagi081

yanagi080

地震の影響で日奈久温泉全体の客足はやはり激減したという。

そのせいか柳屋の宿泊客も自分一人で貸切状態だった。

お湯はこんなにも元気なのになぁ、と、思わず切なくなってくる。

まあ、でも、せっかくだからこの貸切状態を満喫しよう!と、

その晩はもちろん、早起きして朝湯も心ゆくまで満喫した。

yanagi082

yanagi043

yanagi0004

yanagi0003

翌日は日奈久温泉の町の散歩を楽しんだ。

この温泉街は実にひなびたいい味を出しているのである。

過去の日奈久温泉の記事「ひなびのワンダーランド/日奈久温泉・鏡屋旅館」

 

共同浴場や温泉神社、竹輪屋巡り等々、

日奈久温泉の散歩の楽しみどころはいろいろあるけれど、

今回は路地裏の神さま巡りをしてみた。

そう、日奈久の温泉街には古くから

目の神さまだったり、歯の神さまだったり、芸の神さまだったり、

いろんなユニークな神さまがおわしましているのである。

そもそも路地裏自体が歩いていて楽しい。味わい深い。

なので、日奈久温泉に行かれる方には神さま巡りをぜひおすすめしたい。

 

狭いけれど味わい深い。まずは、そんな商店街を歩いていく…

yanagi052

名物の竹輪屋の自動竹輪焼き器なんかに目を奪われながら…

yanagi046

ひなびた情緒を味わいながら…

yanagi072

yanagi005

yanagi064

yanagi065

ときにはこんな路地ををすり抜けて…

yanagi0002

すると、ところどころで神さまに出会えるのである。

yanagi049

芸の神さまの弁天様。

yanagi048

石を彫った素朴で味わい深い恵比寿さま。

大漁の神さまである恵比寿さまが多いのは、やはり海辺の町ならではか。

yanagi3

yanagi7

yanagi047

yanagi4

yanagi062

yanagi058

こちらは目の神さま。

yanagi069

こちらは歯の神さま。

yanagi076

なんと、手足の神さま!足手荒神。

yanagi1

小さく素朴ながらも神性を感じてやまない金毘羅さま。

yanagi068

こちらは…え〜と、なんだったっけ?(^^;)

yanagi2

と、どうです?味わい深いでしょ?

時間が止まったかのような十数軒の宿と

地元の人と触れあえる共同浴場、そして素晴らしい湯。

味わい深くフォトジェニックな路地裏散歩等々、

日奈久温泉は、歩くのがとても楽しい温泉街なのである。

 

カメラを片手にブラブラと、温泉巡りをしながら、気ままにのんびりと、

もちろん、歩くときは名物の竹輪を食べながら歩こう。

お約束、ですよ。

yanagi073

日奈久温泉を歩く人はぜひこのマップを!>>>ダウンロードする

柳屋
熊本県八代市日奈久中町326
0965-38-0125

記事:ショチョー

当サイトのすべての文、画像、データの無断転載を堅くお断りします。

mail5555

2016-07-26 | Posted in 四国/九州2 Comments » 

関連記事

コメント2件

 加守田 久美 | 2016.10.07 21:49

楽しく拝見しています。
日奈久温泉行ってきました‼
ショチョーさんの記事がとても気になって、一体どんな古ぼけた町なのか確かめたくて。
イヤー想像以上に人がいなくて、町全体が眠りこけたような感じで、やる気全く無さげが可笑しかったです。
竹輪2本買ったらオマケで1本くれちゃうし、金波楼の前では子供たちが道路に落書きしてるしで。
でもお湯はいいですね。
今回入った東湯は湯加減といい潮の味わいといい、安さといい、お気に入りな銭湯でした。

 hinaken | 2017.01.14 19:37

コメントに気がつかず返信が大変遅くなりました。。。
申し訳ございません。。。
日奈久の温泉街はゆるくていいでしょう?(笑)
ところどころに小さな祠があって、神さまが祀られていたりして
そんなところもいい感じです。
ちくわ食べましたか?おいしいですよね!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします!温泉バンザイ!^^

Comment





Comment