そこは演歌な風情の温泉街/下風呂温泉・まるほん旅館・大湯・新湯

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【青森 下風呂温泉・まるほん旅館・大湯・新湯】

下風呂温泉をなぜ下風呂温泉というのか?

それは、恐山の温泉に対しての名前だというんですね。

つまり、下北半島のあそこら辺の温泉の山上にある恐山の温泉を「上」とし、

麓の海岸にある下風呂温泉はその「下」にある温泉ということで

下風呂温泉といわれるようになったのだと。

せっかく「上」の恐山の温泉に入ったのだから

「下」の下風呂温泉にも入りたい。

というわけで、下風呂温泉の「まるほん旅館」に宿をとった。

なぜ「まるほん旅館」にしたかというと、

ここのお風呂が“階段を降りていくお風呂”だったから。

“階段を降りていくお風呂とはなにかというと…

たとえばこんなお風呂…、人吉温泉の「たから湯」

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あるいはこんなお風呂…、湯ヶ野温泉の「福田家」

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なんかいいんですよねぇ。脱衣所があって、

そこから階段を降りていくと湯船があるというスタイル。

「まるほん旅館」は創業が明治時代という老舗の旅館。

かつて下北半島でニシン漁が盛んに行われていたころ、

各地から沢山の人々が下風呂を訪れていて、

そのお客さんを泊めるためになりゆきで開業したのがこの「まるほん旅館」なのだそうだ。

電話で予約したとき、「うちは古い旅館ですけどいいですか?」と女将さん。

「いやいや、古ければ古いほどわくわくしするんです」と自分。

うんうん、期待できるなぁ。わくわく。

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下北駅前からバスに乗って、宿に到着したのは夕方だった。

こじんまりとした宿。こまめに改修してきているのだろう。

それほど古さは感じられない。

高台のはじまりに建っているので、窓からの眺めもとてもよさそうな感じだ。

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案内されたのは2階の角部屋で、

窓の外の眺めは思った通りのすばらしいものだった。

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まもなく夕食時間であったけれど、まずはその前にひとっ風呂。

浴場へ行くと、「男湯」「女湯」ではなく、

「おどご湯」「おなご湯」と書かれているところが、なんかいい。

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「頭上注意」と書かれた浴室のドアを開けて覗くと

お~!あるある、階段が ♡それが地下へと続いていて、

その先にちょこっと湯船が見えていた。

階段をいい感じに硫黄臭が立ち上ってくる。

う~ん、この天井が低くて狭い階段がいい感じの味をそえているなぁ。

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そうそう、この湯船に向かって降りていく感じがなんともいいんだよなぁ。

と、よろこびを噛み締めながら狭い階段を降りて、さっそく湯につかる。

熱!ちょっと激熱だったので少しうめさせていただく。

女将さんによれば日によって湯の色は変わるとのことで、

この日はけっこう白濁していた。

昨日、つかってきた恐山の湯よりも濃厚な感じである。

くぅ~!きているきている、ありがたい温泉成分がじわじわきているなぁ。

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食事は漁師町の家庭料理って感じでとてもおいしかった。

旅館の晩飯って、見かけ倒しの料理がずらりと並んで、量がありすぎて、

お酒を楽しむ余地が無いものがホント多くて辟易するけれど、

こういう素朴なものが食べたいのですよ。

温泉よし、料理よし、女将よし、まるほん旅館、いい旅館です。

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満足して食事を終えて、お膳を下げてもらっているときに、

女将さんが「今日は漁火がよく見えますよ」というので、

窓を開けてみると、なるほど、きれいな光がポツポツ見えた。

ほほう、漁火が見える風景ってこういう風景なんだ。

う~ん、漁師の町に来たなぁ~っていう実感がわきますね。

食後、もう一度風呂に入り、

あがってから、夕食の残りをつまみに漁師町の情緒を感じながら

心ゆくまで日本酒を楽しんだ。

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翌朝、まるほん旅館を後にして、

共同浴場をふたつ、はしごした。

まずはまるほん旅館の目の前にある「大湯」へ。

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下風呂温泉郷の源泉は、「大湯系」「新湯系」「浜湯系」と3つあって、

「まるほん旅館」と「大湯」は白濁した「大湯系」である。

「大湯」の湯船はふたつあって、

熱湯とぬる湯にわかれていて「あつめです」と「ぬるめです」とそれぞれ書かれている。

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浴室が広いので開放感があっていい感じである。

でも、あの「まるほん旅館」の密室感もなんともいい味があったけど。

濃厚な湯であり、さっきまで「まるほん旅館」の湯にもじっくりつかっていたので、

湯あたりしないようにほどほどにして湯を上がった。

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次に向かったのが「新湯」である。

こちらは濁りが少なく透明っぽい湯。

浴感も「大湯系」よりはさらりとした感じだ。

これはこれで悪くない。

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しかし、と、ふと思った。

「まるほん旅館」も「大湯」も、ここ「新湯」も

浴槽がプールみたいに水色に塗られているけれど、

これは下風呂温泉のトレンドなのだろうか。

まあ、水色に塗られた浴槽は珍しいわけではないけれど。

そういえばさっき外をぶらぶらしているときに見た

下風呂名物いかレースの“レース場”も同じ色をしていたなぁ(笑)

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三湯連続でちょっとのぼせ気味になってきたので、

湯上がりにバヤリースオレンジをクイッといただく。

うまい!下風呂温泉のナイスな湯に乾杯!

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帰りしなに下風呂の漁港をぶらぶらと散策した。

漁師小屋や、漁火のランプがたくさんぶら下がっているイカ釣り漁船や、

いかにも海の神社って感じの奇岩の上に建つ祠なんかを見ながら、

ああ、今、自分はあの下北半島の突端にいるんだなあ、ということを実感する。

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次はぜひとも寒い季節に来たいなぁ。

冬の津軽海峡、あぶったイカと熱燗の日本酒、そんな演歌的世界にひたりながら

じっくり温泉を楽しむ旅をしようではないか。

うん、ここは冬に来ないともったいない。そんなことを心に誓って、

潮の香りにほのかな硫黄の香りが入り混じった下風呂温泉郷を後にした。

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まるほん旅館
青森県下北郡風間浦村下風呂字下風呂113
0175-36-2330
日帰り入浴:300
一泊二食:8,000
http://maruhonryokan.com

大湯
青森県下北郡風間浦村下風呂字下風呂97
0175-36-2824
入浴料:350
4月~10月・700203011月~3月・8002030

新湯
青森県下北郡風間浦村下風呂字家の尻13
0175-36-2860
入浴料:350
4月~10月・700203011月~3月・8002030

記事:ショチョー

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2016-10-04 | Posted in 北海道/東北No Comments » 

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