マネかれてやってきちゃったのは…/永和温泉みそぎの湯

 

【愛知県 永和温泉みそぎの湯】
さて、いよいよ書きます。
あ、なにを書くかっていうと永和温泉みそぎの湯。
いつか書かなければならなかったと思っていた迷湯…、いや名湯。
いやぁ、世の中にはいろんな温泉があるけれども、
まさかこんな温泉があるなんて思いもしなかった。

 

聞けばここは宗教団体専用の温泉だというのですね。
「霊観不動教会」という聞いたことのない宗教団体。
しかもその団体は百人限定の宗教団体だというのだ。
でも、一般の人にも開放している。
その湯に浸かるためには祭壇で二礼二拍手一礼をして
みそぎ料2百円をお賽銭箱に入れる。
神様から神聖なる湯をいただくわけですから、
そこらへんはちゃんとしなくてはならないのだ。
ね?すでにこれだけでヘンに好奇心を刺激するでしょ?

 

 

え?そんな湯に入ったらその宗教に勧誘されるんじゃないかって?
いえいえ、大丈夫。なんてったって百人限定なわけなんで、
今のところ百人定員いっぱいとのことなのだから。ご安心あれ。
さて、そんな永和温泉みそぎの湯は、愛知県愛西市の住宅街にある。
最寄り駅はJR東海関西本線の永和駅。

 

 

 

そこから約1.5kmぐらいのところに吉野屋という洋品店が
あって、その隣が永和温泉みそぎの湯だ。
実はこの吉野屋のご主人こそが「霊観不動教会」の
教祖様で、永和温泉みそぎの湯も吉野屋で入浴を乞う。
あるいは、謎めいた祭壇の前に立てばセンサーが感知して
ピンポ〜ン、ピンポ〜ンと呼び出し音が鳴り続けて、
人が出てくるので、そこで申し出てもよい。
いずれにせよ、冒頭でふれたとおり、湯に浸かるためには、
まず祭壇で二礼二拍手一礼をする。
そして、みそぎ料2百円をお賽銭箱に入れる。
入浴料じゃあないんです。ここではあくまでもみそぎ料なのだ。

 

 

 

しかし、この祭壇もカオスだなぁ。
いろんなものが置いてあって、たとえば紅白のダルマやら、
あるいは琉球人形やら、はてまた洋モノのクラッカーの缶詰なんかが
脈絡もなく置いてあって、ツッコミどころ満載なのである。

 

 

でも、なによりもカオスオーラを放っているのが、
祭壇の真ん中に立っている白装束を着たマネキンだ。
白装束は信者の正装なのだろうか?

 

聞けばこのマネキン。ちゃんと意味があるそうで、
なんでもこのマネキンが、ここ永和温泉みそぎの湯に
“人を招(マネ)いている”というのだ。
ということは、つまりですよ、今ここにこうしているボクもですねぇ、
このマネキンにマネかれたということになるわけなんですね。
いやぁ、光栄なことではあ〜りませんか。

 

 

 

 

さて、ここ、永和温泉みそぎの湯の“名物”といえば
おしゃべり好きな教祖様だと聞いていた。
だから、ドキドキワクワクしながら、教祖様との邂逅を
期待していたのだけれども、
残念ながら、この日は近所で法事があってお会いすることができなかった。
代わりに出ていらした奥様の指示にしたがって、
祭壇で二礼二拍手一礼をして
みそぎ料2百円をお賽銭箱に入れて浴室へと向かった。

 

 

 

 

浴室は祭壇の裏手にある。
奥様のあとについていくと、そこはブルーの塩ビの波板でつくられた
手作り感満載な空間があった。

 

 

 

 

 

おお!この手作り感は千葉の正木温泉
福岡の博多温泉・元祖元湯に匹敵するなぁ。
と、期待に胸が高まり、そそくさと服を脱いで浴室に行くと……

 

予想のナナメ上をいった浴槽があった。

 

コンクリづくりの浴槽はひなびた温泉では珍しくはないけれど、
これは浴槽というよりも、なにかの稚魚の養殖水槽にしか見えない。

 

 

でも、よく見るとちゃんと洗い場らしきものがあるし、桶なんかもある。
もちろん浴槽には湯がはられていて、かけ流しの湯が
3つの浴槽に3段階にオーバーフローしている。

 

 

いやぁ、おもしろいなぁ、ここ。
いろいろなユニークな温泉見てきたけれども、
ユニークさでは間違いなくトップテン入りだね。
そんなことを思いながら、湯に浸かってみると
うん、いい浴感だ。源泉のフレッシュさが感じられる。
湯はやや褐色を帯びた透明な湯。
香りは微臭ながら硫黄臭、油臭が混じったような感じ。

 

 

 

へー!こんないい湯が、こういう養殖水槽みたいな
湯船をオーバーフローしているなんて!
あ〜、マネキンさん!マネいてくれてありがとう!
…と、心の中でふたたび二礼二拍手一礼を。

 

 

 

 

 

 

 

大満足で浴室を出たところで、
常連のおじさんとかち合って、
なんとはなしの立ち話になった。
なんでもここの湯に毎日浸かりにきているとのことだ。
もしかしたら信者さんでしょうか?と聞いてみたら、
ただのご近所さんということだった。
秘密を打ち明けるかのような顔で、
ここ、いい湯だよね、と、
にっこり笑って答えてくれたのが印象的だった。

 

 

帰り、名古屋に向かうJR東海関西本線の電車の中で
永和温泉みそぎの湯の不思議な余韻を感じていた。
ふと、まぶたを閉じてみた。
そこには残像のように、あのマネキンの顔があった(……気がした。笑)

 

■永和温泉 みそぎの湯
住所:愛知県愛西市大井町浦田面686
電話:0567-31-0146(吉野屋)
入浴:200円

記事:ショチョー
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2018-10-26 | Posted in 関東/中部No Comments » 

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