狩人が発見した山懐の至福の湯につかる。/霧島温泉・湯之谷山荘
【鹿児島 霧島温泉 湯之谷山荘】
古びた木の湯船がなんともいい感じの味を
かもしだしているっていうのと、
湯も、濃くて玄人好みで実にいいのだと噂を聞いていたのが、
九州は霧島温泉の湯之谷山荘の内湯だった。
それはぜひいってみたいと思っていたところ、
出張で鹿児島にいく機会ができた。
自炊設備がある湯治棟もあるとのことだったので、迷わず湯治棟で予約した。
一泊無食で6070円。素泊まりにしてはちょい高いかな。
でも、一週間以上の滞在であれば一泊3000円だそうだ。
湯之谷山荘は霧島温泉のホテルから旅館、飲食店、コンビニが
建ち並ぶ温泉街から、ちょっと離れたところにある山懐の温泉宿である。
ここら辺の温泉は、宿ができる前の昔は地元の狩人が利用していたそうだ。
狩人のための温泉…? う~ん、なんかますます、グッとくるなあ。
霧島温泉は湯量が多いことでも有名だ。
たしかに中心地の丸尾温泉付近ではいたるところで湯煙が巻上っている。
近くには丸尾の滝という大きな滝があって、
それがなんと温泉の滝なのである。
23メートルの高さから温泉が滝壺めがけてドバドバ落ちている。
実に贅沢な滝ではないか。
湯之谷山荘で、まず出迎えてくれたのは犬だった。
小さめな犬だけど、顔つきは大人。
名前はなんていうのかな。あとで、宿の人に聞いてみよう。
通された湯治棟の部屋は6畳の和室で、トイレは共同、
冷蔵庫あり、テレビは、お、なんとブラウン管テレビではないか。
映るのかな?
宿のご主人によれば、
今の時間なら貸し切り露天風呂が空いているとのことだったので、
さっそく浴衣に着替えて向かった。
貸切中の札をフロントでもらって、それを露天風呂の入口にかける。
露天風呂は庭の離れのようなところにあって「天狗の湯」というのだけど、
だからなのだろう、庭には祠のようなところに天狗さまが祀られている。
なんだか歯をくいしばった感じの、ヘタウマな顔をした天狗さまである。
露天風呂は2~3人でいっぱいぐらいの、こじんまりとした大きさ。
白濁した湯がいい感じだ。露天のわりには開放感があまりないけれど、
逆に、こんなふうにこじんまりとこもった感じも悪くない。
湯は見た目に反してクセがなくマイルドな感じ。
これは、朝風呂とかも気持ちよさそうだ。
せっかく自炊棟に泊まったのだから
やっぱ自炊でしょうってなるのだけれども、
ちょっと時間の都合でスーパーに寄れなかったので、
とりあえず、コンビニで野菜を切って一緒に炒めるだけの酢豚のもとと、
塩むすびを買ってきた。
自炊場ではおもしろいものを発見。
なんと、ここのガスコンロには
100円を入れてガスを買う、ガスの“自動販売機”がくっついていた。
かなり年季物だ。100円玉を入れてハンドルをまわす。
ガスコンロのスイッチをひねる。カチッ。ボッ。おお、火がついた。
こういう旅先での自炊は楽しいですね。
今度来た時は、もっと本格的な自炊をしよう。
さて、酢豚をおいしくいただいて、
いよいよ楽しみにしていた、湯之谷山荘の評判の内湯に向かう。
す、すばらしい!思わず、声が出てしまった。
総木づくりの浴槽、浴室が、実にいい感じにひなびているではないか。
浴槽は大中小と3つあって、
小さい湯船がぬるめの炭酸泉。
中くらいの湯船が炭酸泉+硫黄泉で、底が浅い寝湯になっている。
一番大きい湯船が硫黄泉で、やや熱めの湯。これが体にグッと効く感じなのだ。
湯之谷山荘の内湯は、ぜひとも、少、中、大という順番で入ってほしい、
というか、この順番は、鉄則といいたい。
ライトな炭酸泉で体をならして、寝湯でふにゃふにゃにくつろいで、
最後に濃い熱めの硫黄泉でじわりと仕上げる。
この順番だからこそ、よりググググッとくるのである。
なるほど、濃くて玄人好みの湯とはこれのことか。
細かい湯の花が浮かぶ乳白色の湯につかりながら、
長い長い時間が染み込んだかのような渋く味わい深い空間にひたる…
噂に聞いた湯之谷山荘の内湯は、はい、期待以上ですな。
う~ん、極楽、極楽。身体の芯まで温泉が染み渡っている感じ。
これはもう、湯上がりのビールだって最高にうまいに違いない。
湯之谷山荘の湯治棟。一週間以上の滞在であれば一泊3000円か。
そうはいっても一週間以上もまとめて休むなんて現実的にむずかしいけれど、
でも、ここはチャレンジしてみたいな。
毎日気ままに、あのすばらしい湯船につかって、
たまに自炊のための材料を買い出しに里に降りていく。
なんてったて、鹿児島ですからね。おいしい食材には事欠かないわけで。
う〜ん、憧れちゃうなぁ。
湯之谷山荘 http://www.mountaintrad.co.jp/~yunotani/
記事:ショチョー
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